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大学無償化制度利用でのFラン大進学、「高卒で就職より1000万円損」の訳 | 東洋経済education×ICT

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大学無償化制度利用でのFラン大進学、「高卒で就職より1000万円損」の訳 | 東洋経済education×ICT
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日本の大学進学率は上昇の一途だ。進学希望者の望みがかなえられる社会になっていると見ればいいことでもあるが、実情はそう単純なものでもない。「大学に行かなければいい仕事に就けない」という考え方が職業に上下をつけ、進学以外の選択肢を見えなくさせてきたことは否めないからだ。この既成概念を打破するために、高等学校での進路指導が担う役割は大きい。学校現場での指導状況や若者たちの志向について、情報誌『高卒進路』の編集長でもあるジャーナリストの澤田晃宏氏に詳しく聞いた。

「評定平均値が3.5未満の生徒」が、その学力のまま入れる大学や専門学校に進んだとしよう。彼あるいは彼女は当然、高卒で就職するよりもいい仕事に就くことを求めているはずだ。だがそううまく運ばないことが多い。 「よりよい仕事を求めて大学に行ったはずなのに、結果は居酒屋チェーンやスーパーマーケットなど、高校卒業時にも就職できたところへ行くという例は珍しくありません。高卒で就職した際の年収を250万円だったと仮定すると、大学に通った4年間の放棄所得そのため、修学支援制度を生徒に積極的に説明しない進路指導担当教員もいると澤田氏は言う。若者が憧れやすいが就職には結び付きにくい、アニメや声優の専門学校のパンフレットを進路指導室の目立たない場所に置くなど、安易な進学に目を向けさせない努力をする教員もいるそうだ。だが、こうした制度の実情を生徒に率直に伝えて就職指導をすることは、教員にとっては大きな負担になるとも続ける。 「高卒者の就職活動では、職場見学や面接のアポ入れも教員の仕事になります。まだまだ就業意識の低い高校生一人ひとりの特性を見極めて指導するのはとても大変なことで、しかも学校現場では進学率を上げたほうが評価される。教員にとっては進学させたほうが楽だし、どんな進路でも『生徒本人の希望を尊重した』と言ってしまえばいいわけです」 だからこそ、澤田氏は進路指導を担当する教員に向けた進路情報誌『高卒進路』を発行することにした。好条件の求人を見つける力が足りない高校生を導き、よりよい形で社会につなぐ重要な役割を、高校の教員が担っていると考えるからだ。 「日本経済を底上げするカギを握っているのは、進路多様校の教員だと思います。でも、先生方も学校の外のことはなかなかわからない。そこで『高卒進路』で少しでも情報を提供できればと考えました。今年で創刊4年目を迎えましたが、現場の先生に熱心な読者も増えてきて、手応えを感じています」超売り手市場の昨今、企業は高卒者の採用でも待遇を上げている。プライベートを重視する若者は、休日数や有休消化率を見て会社を選ぶからだ。だが、そんな状況でも、高卒採用を取りやめた企業もある。理由は「すぐに辞めてしまうから」。 「高卒就職の大きなメリットとして、ほぼ100%正社員で採用されることが挙げられます。4年間のアドバンテージもあり、生涯賃金では大卒者と遜色ないという企業も多くある。しかし早期退職して非正規雇用に転じると、一気に貧困のスパイラルに陥ってしまうのです」 このリスクは、漫然と「入れる大学」に進学した場合も同様だ。過去には奨学金の返済義務を負って社会に出るという、マイナスからのスタートも取り沙汰されてきた。修学支援制度を使えばその点の不安は解消されるが、大学や専門学校の入学難度と中退率は反比例する傾向にある。卒業できればまだいいが、中退してしまえば返済が必要になり、その先に待つのはやはり非正規雇用の負のループだ。「ビルの中でパソコンに向かうだけが仕事ではありません。タワーマンションに住みたいと憧れるだけでなく、その建物がどうやって造られているかにも興味を持ってほしい。建設業も製造業ももっと給与を支払うべきだし、教員の給与も低く抑えられていると思います」 都市部ほど進学の同調圧力があり、社会を知らない若者が自分の意思で仕事を選ぶのは難しい、と同氏は語る。そんな中でも、高卒で近畿圏のラーメン店に就職した女性のことを話してくれた。進学しないことには葛藤もあったが、卒業して5、6年が経ち、彼女は店長に昇格していた。年収も20代前半で400万円を超えた。高校時代の友人に久しぶりに会ったところ、その友人は大学の奨学金を返済しながら彼女より安い賃金で働いており、「私も高校出て就職すればよかったな」と言ったそうだ。(文:鈴木絢子、注記のない写真:maroke / PIXTA).

「評定平均値が3.5未満の生徒」が、その学力のまま入れる大学や専門学校に進んだとしよう。彼あるいは彼女は当然、高卒で就職するよりもいい仕事に就くことを求めているはずだ。だがそううまく運ばないことが多い。 「よりよい仕事を求めて大学に行ったはずなのに、結果は居酒屋チェーンやスーパーマーケットなど、高校卒業時にも就職できたところへ行くという例は珍しくありません。高卒で就職した際の年収を250万円だったと仮定すると、大学に通った4年間の放棄所得そのため、修学支援制度を生徒に積極的に説明しない進路指導担当教員もいると澤田氏は言う。若者が憧れやすいが就職には結び付きにくい、アニメや声優の専門学校のパンフレットを進路指導室の目立たない場所に置くなど、安易な進学に目を向けさせない努力をする教員もいるそうだ。だが、こうした制度の実情を生徒に率直に伝えて就職指導をすることは、教員にとっては大きな負担になるとも続ける。 「高卒者の就職活動では、職場見学や面接のアポ入れも教員の仕事になります。まだまだ就業意識の低い高校生一人ひとりの特性を見極めて指導するのはとても大変なことで、しかも学校現場では進学率を上げたほうが評価される。教員にとっては進学させたほうが楽だし、どんな進路でも『生徒本人の希望を尊重した』と言ってしまえばいいわけです」 だからこそ、澤田氏は進路指導を担当する教員に向けた進路情報誌『高卒進路』を発行することにした。好条件の求人を見つける力が足りない高校生を導き、よりよい形で社会につなぐ重要な役割を、高校の教員が担っていると考えるからだ。 「日本経済を底上げするカギを握っているのは、進路多様校の教員だと思います。でも、先生方も学校の外のことはなかなかわからない。そこで『高卒進路』で少しでも情報を提供できればと考えました。今年で創刊4年目を迎えましたが、現場の先生に熱心な読者も増えてきて、手応えを感じています」超売り手市場の昨今、企業は高卒者の採用でも待遇を上げている。プライベートを重視する若者は、休日数や有休消化率を見て会社を選ぶからだ。だが、そんな状況でも、高卒採用を取りやめた企業もある。理由は「すぐに辞めてしまうから」。 「高卒就職の大きなメリットとして、ほぼ100%正社員で採用されることが挙げられます。4年間のアドバンテージもあり、生涯賃金では大卒者と遜色ないという企業も多くある。しかし早期退職して非正規雇用に転じると、一気に貧困のスパイラルに陥ってしまうのです」 このリスクは、漫然と「入れる大学」に進学した場合も同様だ。過去には奨学金の返済義務を負って社会に出るという、マイナスからのスタートも取り沙汰されてきた。修学支援制度を使えばその点の不安は解消されるが、大学や専門学校の入学難度と中退率は反比例する傾向にある。卒業できればまだいいが、中退してしまえば返済が必要になり、その先に待つのはやはり非正規雇用の負のループだ。「ビルの中でパソコンに向かうだけが仕事ではありません。タワーマンションに住みたいと憧れるだけでなく、その建物がどうやって造られているかにも興味を持ってほしい。建設業も製造業ももっと給与を支払うべきだし、教員の給与も低く抑えられていると思います」 都市部ほど進学の同調圧力があり、社会を知らない若者が自分の意思で仕事を選ぶのは難しい、と同氏は語る。そんな中でも、高卒で近畿圏のラーメン店に就職した女性のことを話してくれた。進学しないことには葛藤もあったが、卒業して5、6年が経ち、彼女は店長に昇格していた。年収も20代前半で400万円を超えた。高校時代の友人に久しぶりに会ったところ、その友人は大学の奨学金を返済しながら彼女より安い賃金で働いており、「私も高校出て就職すればよかったな」と言ったそうだ。(文:鈴木絢子、注記のない写真:maroke / PIXTA)

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