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地球外生命探査の鍵に? 木星の衛星エウロパの「氷の外殻」の厚さが見えてきた

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地球外生命探査の鍵に? 木星の衛星エウロパの「氷の外殻」の厚さが見えてきた
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木星の衛星「エウロパ」の氷の外殻の厚さが約29km前後であることが、NASAの観測データから初めて明らかになった。広大な内部海に生命が存在する可能性を探索するうえで、重要な基礎情報になりそうだ。

木星の衛星であるエウロパの厚い氷の外殻の下には、広大な内部海が広がっていると考えられている。この内部海の深さは60〜150kmほどにもなると推定され、水の量は地球のすべての海洋の水を合計した量の2倍以上にも達すると見積もられている。このためエウロパは、太陽系における生命探査の最も優先度の高いターゲットのひとつになっている。 こうした内部海のハビタビリティ(生命居住可能性)を考えるうえで、エウロパの氷の外殻の特性を明らかにすることが重要と考えられてきた。その厚さは一般的に、外部からの光などのエネルギーが内部海までどれだけ届くかに影響し、表面から内部海への酸素や栄養塩(生物の栄養として必要な塩類。窒素、リン、ケイ素などを含む)の供給にも影響する。 こうしたなか米航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(JPL)などの研究チームが、NASAの木星探査機「ジュノー」の観測データに基づいて、エウロパの氷の外殻の厚さを初めて測定した。これまで厚さは3kmから30km以上の範囲にあると推定されてきたが、今回の測定では平均29km前後であることが明らかになったのだ。 この推定値から考えると、エウロパの氷の外殻は比較的厚いと考えていいだろう。なお、論文は「Nature Astronomy」に掲載されている。 温度の分布から見えてきたこと 今回の測定に使われた観測データは、ジュノーに搭載されたマイクロ波放射計(MWR)を用いて収集された。MWRは本来、木星の雲頂の下に広がる大気を探査するための観測機器である。しかし、これまで氷に覆われたエウロパのほか、火山に覆われた木星の衛星「イオ」などの探査にも威力を発揮してきた。 ジュノーは今回、エウロパから360kmほどの距離まで接近した2022年9月29日のフライバイ(接近・通過)の際に、MWRを用いてエウロパの表面のほぼ半分を観測した。氷の下をのぞき込み、さまざまな深さの温度を測定したのだ。今回の推定値は、こうして取得された垂直方向における温度の分布に基づいて見積もられた。 観測データによると、エウロパの氷の外殻の厚さは平均29km前後であることが明らかになった。ただし、研究チームによると、この数値は純水でできた冷たく堅い伝導性のある外殻の外側の層に関するものだという。 「もし、その内側にわずかに温度が高く、対流している層が存在している場合には、トータルで外殻の厚さはもっと厚くなるでしょう」と、ジュノー・プロジェクトの科学者でJPLに所属する共同研究者のスティーブ・レビンは解説する。しかも、氷の外殻に適量の溶けた塩が含まれている場合には、厚さが5kmほど薄くなる可能性もあるという。 エウロパの氷の外殻には、対流活動が存在する可能性が近年になって指摘されている。冷たく密度が高い氷は沈み、より暖かく密度が低い氷は浮き上がると考えられるからだ。もし本当にエウロパの氷の外殻に対流現象が存在しているなら、表面から内部海に酸素や栄養塩が供給されている可能性もある。 今回の推測が示唆するように、エウロパの氷の外殻が比較的厚いものなら、酸素や栄養素がエウロパの表面から内部海に届くためには、より長い“旅路”をたどらなければならないことになる。これは生命が生存する条件として不利に働く可能性もありそうだ。 今後の探査の重要な基礎情報に また今回の観測では、エウロパの地表の浅い地下にマイクロ波を散乱する層が存在することもわかった。この層は地表近くの氷に存在する不規則な層で、裂け目や穴、空洞などからなるという。 それらの裂け目などの直径は数センチメートル程度よりも小さく、深さは数百メートル程度と見積もられている。このように層の裂け目などが小さくて浅いことから、エウロパの表面から内部海に栄養塩や酸素が届けられる重要な経路にはなりえないと、研究チームは考えている。 「氷の外殻の厚さの程度や、氷の外殻における裂け目や穴の存在は、エウロパにおける潜在的なハビタビリティを理解するうえで複雑な謎の一部といえます」と、サンアントニオにあるサウスウエスト研究所に所属しジュノーの主任研究員を務めるスコット・ボルトンは言う。「木星圏に向かっているNASAの探査機「エウロパ・クリッパー」や欧州宇宙機関(ESA)の木星氷衛星探査機『ジュース(JUICE:JUpiter ICy moons Explorer)』にとって、重要な基礎情報になるはずです」 なお、エウロパ・クリッパーは2030年に、ジュースはその翌年に木星圏に到着する見通しだ。 (Edited by Daisuke Takimoto) ※『WIRED』によるエウロパの関連記事はこちら。宇宙の関連記事はこちら。 Related Articles NASAの探査機「エウロパ・クリッパー」は、生命が存在する可能性を見つけ出せるか 木星の衛星エウロパに“生命”が存在する可能性に関する新事実と、深まる謎を解くために必要なこと 大量の水が存在する木星の衛星「エウロパ」の奇妙な模様の秘密:今週の宇宙ギャラリー 未来の可能性を拡張するアイデアとイノベーションのエッセンスを凝縮した、毎年恒例の大好評企画の最新版「THE WIRED WORLD IN 2026」。世界中のクリエイターや実業家、科学者など40名超のビジョナリーが、テクノロジーやビジネス、カルチャーなど全10分野において、2026年を見通す最重要キーワードを掲げた総力特集! 詳細はこちら。.

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