4月下旬に発表された将来人口推計の前提となっている合計特殊出生率。その仮定値はほとんど毎回外れており、「実績値」より高い楽観的な数字になっている。昭和女子大学特命教授の八代尚宏さんは「国は、最新の発表で出生率は2023年で底を打ち、その後、回復トレンドになるとしているが、その理由を何も明らかにしていない。出生率回復は、年金財政面で必要とされる年金支給開始年齢の引き上げなどの改革をしなくていいといった口実に使われる可能性がある」という――。
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が、4月末に新しい将来推計人口を公表した。これは5年ごとの国勢調査をベースに50年後までの将来の人口を推計するものだが、今回はコロナ危機の影響で1年遅れの公表となった。
日本の人口はすでに長期的な減少基調にあるが、そのペースは、前回調査(2017年)と比べて、やや緩やかなものとされている。これは高齢者の平均余命の伸長と、日本に流入する外国人数が、今後、大幅に増えるという想定による面が大きい。一人の女性が一生に産む子ども数を示す合計特殊出生率(以下では出生率)が2.1の水準を維持すれば、人口は安定化する。周知のとおり、日本の出生率は1985年ごろの1.8から、2021年の1.3まで、ほぼ持続的な低下を続けている。この間、1987年から97年までの3つの人口推計時点の出生率見通しは、いずれも予測時点から緩やかに回復するパターンであったが、現実にはいずれも裏切られている。つまり回復せず、下がっている。
なお、ここで出生率の見通しは、人口数のような予測値ではなく、その前提となる仮定値とされている。すなわち高位、中位、低位の3つの仮定に基づく複数の推計によって、「将来の人口推移について一定幅の見通しを与えている」とされている。 しかし、現実の年金財政検証などで主に用いられる出生率は、中位値であることが大事だ。低位値ほど悲観的な数字ではないものの、まあまあ楽観的な予測といえる中位値。当然のことながら、どちらを採用するかによって、導き出される結果は大きく変わる極めて重要なものだ。 冒頭で触れた将来人口推計は、厚労省によれば「国際的に標準とされる人口学的手法にもとづき、人口変動要因である出生、死亡および国際人口移動に関連する統計指標の動向を、数理モデル等により、将来に投影する方法で推計」とされている。
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