もう5年以上前になるだろうか。コロナ災禍の数年前、仕事帰りにとても素敵(すてき)な景色をみた。マネジャーが運転してくれる車の後部座席で、窓を開けて風に吹かれなが...
マネジャーが運転してくれる車の後部座席で、窓を開けて風に吹かれながら景色をみるのは、私の趣味の一つと言っていい。特に仕事帰りは、今日の任務を終えた気楽さと程よい疲労感でふわふわと、大変気持ちよく流れていく景色を眺める。高速の乗り口を目指し、市役所などの集まった大通りの角を曲がった。その車窓に、突然広々とした空き地が現れた。10階以上のビル群の中、そこだけ空間が広がり光を集めていたが、それだけではなかった。白、赤、黄色、水色、茎と葉の早緑(さみどり)…。車のスピードから考えれば、視界に入っていたのは10秒にも満たないだろう。それが今でもまざまざと思い出せる。「経験したことがないほどに奇麗」と感じた瞬間、脳の特別なエリアに記録したようで、カーブを曲がる速度も、少し傾斜がかっていた空き地の形態も、行き過ぎてから目に入った「奉行所跡」の石碑も、よく覚えている。
あの花畑は、一体どうして生まれたのだろう。例えば美しい花壇を多数備えた建物を取り壊したとしても、あんなに全面に行き渡らないはずだ。品種の違いもあるはずで、開花時期があそこまで見事にそろうのか? 小規模な自宅花壇でも実現は難しい気がする。 数年考え続けても謎は深く、ただの美しさを超え、誰かが意図して綿密に仕立てたような並々ならぬものを感じるので、忘れることができない。英国リバティ社の保有するテキスタイルデザインに、同じ花柄があった気さえする。真相は美しく謎のまま、今年も私は思い返している。
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