米国のトランプ次期政権をにらんだ外交的な駆け引きが早くも活発化している。ウクライナのゼレンスキー大統領は6日にトランプ次期大統領と電話会談し、ロシアのプーチン大...
米国のトランプ次期政権をにらんだ外交的な駆け引きが早くも活発化している。ウクライナのゼレンスキー大統領は6日にトランプ次期大統領と電話会談し、ロシアのプーチン大統領もウクライナ侵略戦争の停戦協議に関心を示した。欧州、中東、アジアという「3つの圏域」で危機が同時進行する状況に歯止めをかけるため、トランプ氏がウクライナに関して早期の停戦を促すとの見方が強まっているためだ。ゼレンスキー氏は7日の記者会見で「ウクライナの安全を保証せずに停戦を急ぐのは危険だ」と強調した。停戦すれば、時間を得たプーチン氏が軍備を立て直し、必ず再侵攻してくるとの懸念がウクライナではきわめて強い。逆にプーチン氏は、自らに有利な形でトランプ氏と取引できることを期待している。
世界では今、中国、ロシア、北朝鮮、イランといった権威主義勢力が、米国の主導する国際秩序に挑み、利益や野心を追求している。欧州、中東、アジアという「3つの圏域」で紛争や危機が拡大・連鎖する未曽有の潮流が起きている。 米外交誌「フォーリン・アフェアーズ」最新号は巻頭論文で警鐘を鳴らした。米中枢同時テロ(2001年)以降の紛争は地域や規模が限定されていたが、もはや投入資源や兵力、参入国の拡大によって膨大な損害が出る「全面戦争の時代」に回帰したと。中東ではイランや親イラン勢力が米同盟国のイスラエルと紛争状態にあり、紅海で米国艦船や西側商業船舶に執拗(しつよう)な攻撃を続ける。ロシアのウクライナ侵略では北朝鮮が派兵してウクライナ軍と交戦した。代表格はエルブリッジ・コルビー元国防次官補代理だ。トランプ前政権の国防戦略起草に関わった対中強硬派の論客である。コルビー氏は7月、シンクタンクの行事で「誰が次の大統領に選ばれても、中国が台湾を攻撃する事態に備えなければならない。われわれには十分な時間が残されていない」と警告した。7日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルによれば、ペンス前副大統領の補佐官だったキース・ケロッグ氏とトランプ前大統領の副補佐官だったフレッド・フライツ氏は今年に入り、「ウクライナがロシアとの停戦交渉に応じるまで兵器供与を保留する」ことをトランプ氏に提案した。プーチン氏に果実を与える形でのウク
現実主義外交の大家とされる国際政治学者、モーゲンソーは「合理的な対外政策だけが危険を最小限に、そして利益を最大限にする」と説いた。利益最優先の取引を得意とするトランプ氏。自ら警告する「第三次大戦突入」を回避する「合理的判断」が問われる。(ワシントン 渡辺浩生)
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