トランプ米大統領は1月21日、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」から再離脱する大統領令に署名しました。
1月21日、 トランプ 米大統領が、就任当初に行われたことの一つとして、 気候変動 対策の国際枠組みである「 パリ協定 」から再離脱する大統領令に署名しました。写真は20日、ホワイトハウスで大統領令に署名する トランプ 氏(2025年 ロイター/Carlos Barria)\ トランプ 大統領による今回の離脱は、地球温暖化のリスクを高めるほか、米国からの環境対策資金の提供を減らし、欧米間の環境規則にずれが生じて投資に不都合が生じる懸念があり、2017年の初回離脱よりも影響は大きくなることが予想されます。今回の離脱は1年以内に発効し、前回離脱の際の3年半よりも短く、17年の米国による離脱発表以降、 気候変動 はさらに深刻化しています。昨年は史上最も暑い年となり、世界平均気温は産業革命前の水準と比べて1.5度以上も上昇し、 パリ協定 で目標とされる「1.5度」水準を単年で初めて超えました。気候は数十年にわたるデータを基に測定されており、足元で世界の平均気温は産業革命前を1.3度上回っており、今世紀末までに少なくともこれがプラス2.
7度に高まると予想されています。危険な水準ですが、それでも2015年のパリ協定合意前に予測されていたプラス4度よりは低くなっています。\パリ協定では目標への取り組みが各国に任されており、トランプ氏は米国の国としての二酸化炭素(CO2)排出削減計画を廃止し、バイデン政権時代に導入されたCO2削減プロジェクトに対する税控除も撤回する可能性があります。そうなれば「パリ協定の目標達成はさらに危うくなる」と、コロンビア大学法科大学院のマイケル・ジェラード教授は指摘しています。2015年のパリ協定の交渉に加わった元フランス気候交渉担当のポール・ワトキンソン氏は「もちろん他の国も影響を受ける。主要なプレーヤーの1人が離脱したら、なぜ他の国がその後始末を続けなければならないのか、ということだ」と語っています。米国ではいくつかの州が気候対策を継続する意向を表明しており、また、トランプ氏の第1期目には政治ではなく経済的な要因がクリーンエネルギーの拡大を後押ししました。政府データからは、2020年に共和党の地盤であるテキサス州が国内の太陽光発電および風力発電の記録的な拡大を主導したことなどが読み取れます。\気候対策資金の減少に関する懸念も出ています。非営利団体「気候政策イニシアティブ」によると、米国の国内外向け公共および民間の気候関連支出総額は2021―22年に年1750億ドルに急増しました。22年に制定されたバイデン政権の「インフレ抑制法(IRA)」による大規模な支援が大きく寄与しています。アマゾン・ドット・コムやメタが支援する非営利団体「ウイ・ミーン・ビジネス・コアリション」は、トランプ氏の政策で米国のビジネス環境が混乱し、グリーン投資が他国へ流れる可能性があると指摘しています。「離脱によって他の主要経済国に投資や人材が流れるようになるかもしれない」と警告しています。米企業は余剰クレジットを売却して利益を得ることはできなくなるが、クレジットを購入することは可能で、例えば、米航空会社は国連の定めた航空業界の排出目標を達成するためにカーボンクレジットを購入できると、カーボンクレジット市場の基準を設定する団体「ゴールド・スタンダード」の技術責任者であるオーウェン・ヒューレット氏は指摘しています。非営利団体「カーボン・トラッカー・イニシアティブ」の創設者マーク・カンパネール氏は「欧州の顧客を持つ米資産運用業者は、まるで二つの顔を持つローマ神ヤヌスのように振る舞う必要があるだろう。米国の政治家を満足させるために欧州の顧客を失うリスクを取るだろうか。そんなことはしないだろう」と述べています。カンパネール氏によると、世界の気候政策が「つぎはぎ状態」であることから、企業は気候問題への取り組みを継続しつつも、そうした対応をあえて広報しない「グリーン・ハッシング」戦術を採る可能性が高いという
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