昨秋宮城県大会では８強で散った仙台育英が約７か月ぶりの公式戦を迎え、仙台商に５―０で初戦を飾った。先発した山口廉王（３年）ら投手陣４人がノーノーリレーを見せると、打線は８回に「３番・三塁」で先発した
湯浅桜翼主将（３年）が先制となる走者一掃の適時三塁打を放つなど、投打がかみ合った。聖和学園は東北生活文化大高に９―２で７回コールド勝ち。県大会（５月１６日開幕、石巻市民球場ほか）への出場権を獲得した。仙台育英は、初戦の緊張感がにじむ内容だった。スコアボードに０が並び続け、勝利がどちらに転ぶか分からない緊迫した展開。約７か月ぶりの公式戦を終えた須江航監督（４１）は「いろいろなことを忘れていて、初々しい感じでした。練習試合２０試合、３０試合分くらいの、いい経験をさせてもらえました」と苦笑いで振り返った。
先発した１９３センチ右腕・山口は「先頭切りを意識した」と初回から１４０キロ台中盤の直球を軸に６回までパーフェクト投球。７回は先頭に四球を出し、犠打で１死二塁にされて降板も「冬場の基礎的な体力づくりが成果に出た」と、８奪三振に納得の表情。その後も安定感ある継投で４人が無安打完封リレーを披露した。 奮闘する投手陣を援護したのは、３番・湯浅主将の一打だ。８回無死満塁で真ん中低めのスライダーを捉え、走者一掃の中越え適時三塁打。そのまま３連打で一気に５点を奪って勝利したが、湯浅は「皆、気合が入っていて予想通り空回りした。そう簡単にうまくいかないなと感じた試合でした」と冷静に振り返った。 昨秋は県大会準々決勝の東陵戦で１―２で敗れ、公式戦の経験はこの日で５試合目だ。指揮官は「いま僕らに一番必要なのは、打球速でも球速でもなく経験です」と言い切った。冬を越えた選手は「人との比較ではなく、自分たちとの比較であればちゃんと成功している」と着実に力はつけてきた。後はつぼみの上の雪を、いかにはねのけられるか。「まだ正確に出したいときに（力を）出し切れないけれど、それは一日にしてならず。温かく見守ってあげるしかないですね」。指揮官は、ナインが満開に咲く日を待ち望んでいるようだった。（秋元 萌佳）
聖和学園が２０日の泉戦に続いて勝利し、２勝で県大会出場を決めた。６回から登板した右腕・千葉桜太（３年）は今春から背番号「１」を背負い、２回を１安打無失点。「一喜一憂せず冷静に投げられた」と相手の反撃を許さなかった。昨秋は宮城王者として東北大会に乗り込むも、初戦敗退。「秋の反省を生かしてワンプレーにこだわってきた。絶対に東北大会に行ってリベンジしたい」と意気込んだ。
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