8月1日に甲子園球場は開場100年を迎える。「甲子園100年物語」と題した連載で、“聖地”の歴史や名物の秘話などを紹介する。(井之川 昇平)
ナイター照明の導入によって、再び人の手に戻ったスコアボードの作業。試合中は、重さ7キロの得点板をひっくり返すようにして数字を出す。辻がその作業以上にキツかったというのは、暑さだ。夏の高校野球大会中は、スコアボードの内部が猛烈に暑かった。「今やから言えるけど、暑い時は上半身裸になってた」。何とものんびりとしたムードも思わせるが、得点板をひっくり返す時にスタンドから見えてしまうのでは? 「そら、裸の姿が見られたらまずい。ボードを回転させる時は、半身になって隠れながらやるんや」と笑った。
そんな2代目スコアボードも役目を終える。十于十二支が開場年以来の「甲子」となった、つまり開場60年目の1984年、3代目となる新しいスコアボードが完成した。選手名や得点表示も電光式。いわゆる電光掲示板。もちろん、ネット裏から操作できるため、“潜水艦”の時代は終わった このスコアボードは、フォルムは変わらないまま、大きさがスケールアップ。2代目は高さ8メートルで、突端を除く上辺の水平面は、高さ15メートルの外野スタンドよりも低かった。だが、3代目はスコアボードだけの高さが13メートルで、地上約30メートル。スタンドからニョキッと突き出すようになった。93年にはカラー化。オーロラビジョンもでき、動画も流せるようになった。2003年の阪神のリーグ優勝決定時は、デーゲームで勝利してヤクルトの結果待ちとなり、横浜―ヤクルト戦のナイターをビジョンで放映。ナインは一塁側ベンチで、残った観客はスタンドで、優勝決定の瞬間を、スコアボードの映像を見ながら共有した。11年にはLED化。さらに19年には表示面が大型化され、プロ野球の試合では多様な演出もみられるようになった。ただ、高校野球では今も華美な演出はなく、甲子園のスコアボード特有の威厳のようなものも残している。(敬称略)
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