五輪連覇を有力視されていた阿部詩が敗れた。勝負事に「絶対」はない。だから「絶対王者」だとか「絶対エース」だとか軽々しく使っちゃいけない言葉なんですよ…って、どの口で言っているんだ。
人生の全てを懸けて挑むアスリート。その「勝った負けた」に一喜一憂するんだから、あまり趣味のいい話じゃない。ただ、それがスポーツの残酷さであり醍醐（だいご）味でもある。そんなわけで阿部は阿部でも阿部巨人。「本当の首位」に立ちました。２位広島に３ゲーム差。何度も繰り返しますが、３連戦で３タテを食らっても陥落しないのが「本当の首位」…と原さんが言っています。異議なし。
ヒーローは逆転サヨナラ打のヤクルト・長岡…じゃなくて、もちろん我らが３４歳、菅野智之です。この猛暑の中、イニング、球数とも今季最多のシーズンハイ投球。何よりも３年ぶりの完封勝ちだ。グッとくるにもほどがある。 ３年前、すなわち２０２１年の今頃は詩さんが金メダルに輝いた東京五輪の真っ最中。一方で菅野はどん底だった。メジャー挑戦がさまざまな事情で実現せず、体調不良から五輪も出場を辞退。順調にキャリアを積み上げてきた背番号１８にとって初めての挫折だった。そう言えば、康生さんも東京五輪では監督として日本代表を史上最多５個の金メダルに導いた。一度は敗れた王者が復活する―。これもスポーツの王道ストーリー。だから詩さんも、いつか、きっと必ず…っておためごかしもいいかげんにしろよ。
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