11日(日本時間)に発表された第96回米アカデミー賞は、宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」が「千と千尋の神隠し」以来、21年ぶり2度目の長編アニメーション賞…
同賞は、米ハリウッドの映画人が中心の「米映画芸術科学アカデミー」(AMPAS)会員の投票で選ぶが、「巨匠が7年もの歳月をかけて10年ぶりの新作長編を作り上げた事実に感嘆し、その労力にぜひ報いたいという気持ちが強く働いたのでは」と語るのは、アニメに詳しいジャーナリスト、数土直志さんだ。
数土さんはデジタル制作全盛の時代にあって「君たちはどう生きるか」が、一枚一枚の絵を手で描いて作られたことを挙げ、「手描きアニメは、もはやハリウッドでは継承されていない技術といっていい。やりたくてもやれない。この受賞は、そこへの感銘、リスペクトの表れでもある」と話す。 映画評論家の兵頭頼明さんは、「前哨戦のアニー賞を制した対抗馬の『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』のほうが演出技法は革新的だが、宮崎アニメのほうが物語性が豊かだ。作家が語りたいことが明確で、その作家性に感銘を受けたのではないか」と分析する。「アニメ制作の過剰なデジタル化に対する〝揺り戻し〟のようなものが起きているのかもしれない。そんななかで、手描きで作品を完成させた宮崎監督にハリウッドは感嘆せざるを得なかっただろう」と話す。数土さんは「海外映画祭をこまめに回り、積極的に上映し、AMPAS会員をはじめ世界中の映画関係者の目に留まり、強い印象を残したこともよかったのでは」と語る。
また、兵頭さんは「多様化が叫ばれ、AMPASも外国人会員が増加し、アカデミー賞も米映画へのこだわりが薄まっているのではないか。非英語圏の作品が候補になり、受賞する例は、今後は、より増えるはずだ」と話す。(石井健)
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