去年12月25日、Nintendo Switch/Xbox Series X|S/PS4/PS5向けに『アーケードアーカイブス スペースインベーダー』が、今年1月1日に『アーケードアーカイブス スペースインベーダー・パート2』の配信が始まりました。
『スペースインベーダー』といえば、1978年から79年にかけて日本で一大ブームを巻き起こしたアーケードゲーム。それは社会現象に発展し、コンピューターゲームが一般的ではなかった時代に一般紙までもがそのブームを取り上げたほど。 ただし、このブームには厳しい風当たりがあったのも事実。一般紙はインベーダーを「青少年の非行の原因」というような見方で取り上げ、『スペースインベーダー』に規制をかけようと主張する知識人の言葉をほぼ無批判で掲載していた……という拭い難い事実があります。『スペースインベーダー』の登場は、1978年6月。この時の日本の総理大臣は福田赳夫、アメリカの大統領はジミー・カーターです。そしてこの時代は、それまで大企業の本社や大学、官公庁にしか置かれていなかったコンピューターが急速に小型化し、家庭向けコンピューターというものが登場した頃でもあります。Appleが『Apple II』を発売したのは、1977年6月です。 そして、人々の生活シーンに少しずつコンピューターゲームが定着していきます。アメリカでは既にアタリの開発した『ポン』が人気を博し、主にバーやナイトクラブに設置された『ポン』の筐体は大量の25セント硬貨を集めました。コンピューターという道具は、元々は戦争で敵軍の暗号を解読したり、砲弾の弾道を予測するために開発された代物。それが進化してたどり着いた先は、数学者でも工科大学の学生でもない「一般の人たち」がただ遊ぶためだけの遊技機器だったのです。 これは、戦争のための技術が平和利用され、大衆の支持を集めることに成功した模範例でもあるはず。しかし、インベーダーブームを迎えた日本の知識人とジャーナリストは、『スペースインベーダー』を「金食い侵略者」と呼び子供の敵のように扱いました。 この「金食い侵略者」は、筆者が考えた文言ではありません。1979年6月3日の読売新聞朝刊20ページに『茨城読売 金食い侵略者インベーダーゲーム 「子供を守れ」本県にも動き』という見出しの記事が掲載されています。 “宇宙からの侵略者”を撃退して、点数を競い合うインベーダーゲーム。昨年、日本に上陸してから、全国に一大ブームをまき起こし、県内でも小、中学生から大人まで熱烈なファンは多い。しかし、ゲーム代欲しさに、とくに子供たちの間で非行に走る心配が出ているため、事態を心配した教育関係者の間から規制を望む声が高まっている。(中略) 一方、県教育庁では、古河や水戸市、それに他県の動きに刺激され、二日から指導課を中心に本格的なインベーダーゲーム調査に乗り出した。県内を“侵略”している台数や置いている場所などを、県警防犯部、県青少年婦人課などと連絡をとり合って掌握するが、インベーダー遊びに伴って起きた非行問題があるかどうかなども、各学校から吸い上げていく。そもそも、「昨年、日本に上陸してから」という文言からして事実を誤認しています。タイトーは日本の企業で、『スペースインベーダー』の開発者も日本人です。このあたりの下調べを、記者もデスクも一切行っていないという杜撰さが露呈しています。 そして、この当時「県教育庁では、古河や水戸市、それに他県の動きに刺激され、二日から指導課を中心に本格的なインベーダーゲーム調査に乗り出した。県内を“侵略”している台数や置いている場所などを、県警防犯部、県青少年婦人課などと連絡をとり合って掌握する」などということを行っていた事実にも注目する必要があります。風営法の内容が2026年とは異なるとはいえ、全国紙が特定の一製品に対して「侵略者」呼ばわりしたことも問題だったと言わざるを得ません。インベーダーゲームが青少年の非行化につながると問題になっているため、遊技機械メーカー、ゲームセンター、遊園地などで組織する全日本遊園協会は業界として自粛措置をとることを決め、2日、その内容を発表した。保護者の同伴のない15歳未満の者はインベーダーゲームをさせないことなどが中心で、ゲームセンターなどに自粛ポスターを配布して“ルール”の徹底を図る。この自粛措置が、大手各紙によってセンセーショナルに報道されてしまったという側面も見受けられます。そしてこれが、インベーダーブーム終息の直接的原因と見る声もあります。.
『スペースインベーダー』といえば、1978年から79年にかけて日本で一大ブームを巻き起こしたアーケードゲーム。それは社会現象に発展し、コンピューターゲームが一般的ではなかった時代に一般紙までもがそのブームを取り上げたほど。 ただし、このブームには厳しい風当たりがあったのも事実。一般紙はインベーダーを「青少年の非行の原因」というような見方で取り上げ、『スペースインベーダー』に規制をかけようと主張する知識人の言葉をほぼ無批判で掲載していた……という拭い難い事実があります。『スペースインベーダー』の登場は、1978年6月。この時の日本の総理大臣は福田赳夫、アメリカの大統領はジミー・カーターです。そしてこの時代は、それまで大企業の本社や大学、官公庁にしか置かれていなかったコンピューターが急速に小型化し、家庭向けコンピューターというものが登場した頃でもあります。Appleが『Apple II』を発売したのは、1977年6月です。 そして、人々の生活シーンに少しずつコンピューターゲームが定着していきます。アメリカでは既にアタリの開発した『ポン』が人気を博し、主にバーやナイトクラブに設置された『ポン』の筐体は大量の25セント硬貨を集めました。コンピューターという道具は、元々は戦争で敵軍の暗号を解読したり、砲弾の弾道を予測するために開発された代物。それが進化してたどり着いた先は、数学者でも工科大学の学生でもない「一般の人たち」がただ遊ぶためだけの遊技機器だったのです。 これは、戦争のための技術が平和利用され、大衆の支持を集めることに成功した模範例でもあるはず。しかし、インベーダーブームを迎えた日本の知識人とジャーナリストは、『スペースインベーダー』を「金食い侵略者」と呼び子供の敵のように扱いました。 この「金食い侵略者」は、筆者が考えた文言ではありません。1979年6月3日の読売新聞朝刊20ページに『茨城読売 金食い侵略者インベーダーゲーム 「子供を守れ」本県にも動き』という見出しの記事が掲載されています。 “宇宙からの侵略者”を撃退して、点数を競い合うインベーダーゲーム。昨年、日本に上陸してから、全国に一大ブームをまき起こし、県内でも小、中学生から大人まで熱烈なファンは多い。しかし、ゲーム代欲しさに、とくに子供たちの間で非行に走る心配が出ているため、事態を心配した教育関係者の間から規制を望む声が高まっている。(中略) 一方、県教育庁では、古河や水戸市、それに他県の動きに刺激され、二日から指導課を中心に本格的なインベーダーゲーム調査に乗り出した。県内を“侵略”している台数や置いている場所などを、県警防犯部、県青少年婦人課などと連絡をとり合って掌握するが、インベーダー遊びに伴って起きた非行問題があるかどうかなども、各学校から吸い上げていく。そもそも、「昨年、日本に上陸してから」という文言からして事実を誤認しています。タイトーは日本の企業で、『スペースインベーダー』の開発者も日本人です。このあたりの下調べを、記者もデスクも一切行っていないという杜撰さが露呈しています。 そして、この当時「県教育庁では、古河や水戸市、それに他県の動きに刺激され、二日から指導課を中心に本格的なインベーダーゲーム調査に乗り出した。県内を“侵略”している台数や置いている場所などを、県警防犯部、県青少年婦人課などと連絡をとり合って掌握する」などということを行っていた事実にも注目する必要があります。風営法の内容が2026年とは異なるとはいえ、全国紙が特定の一製品に対して「侵略者」呼ばわりしたことも問題だったと言わざるを得ません。インベーダーゲームが青少年の非行化につながると問題になっているため、遊技機械メーカー、ゲームセンター、遊園地などで組織する全日本遊園協会は業界として自粛措置をとることを決め、2日、その内容を発表した。保護者の同伴のない15歳未満の者はインベーダーゲームをさせないことなどが中心で、ゲームセンターなどに自粛ポスターを配布して“ルール”の徹底を図る。この自粛措置が、大手各紙によってセンセーショナルに報道されてしまったという側面も見受けられます。そしてこれが、インベーダーブーム終息の直接的原因と見る声もあります。
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