貴重な動物が多数生息する沖縄・石垣島で近年、野生動物が車にはねられ死亡する「ロードキル」が激増。 「このままでは島の固有種が消える」。そんな思いから立ち上がった14歳少年が、トング片手に島を見回る姿を追いました。 監督shingo_ota yjcp 石垣島 ロードキル
貴重な動物が多数生息する沖縄・石垣島で近年、異変が起きている。野生動物が車にはねられ死亡する「ロードキル」が激増しているのだ。「このままでは島の固有種が消える」。そんな思いから、島で起きる悲劇を食い止めようと立ち上がった少年がいる。中学2年の仲井間徳真君だ。日々、トング片手に島を見回る少年の姿を追った。「いた?」と問いかける母親に「草かなぁ、カエルっぽかった」と返すと、確認のためにすぐさま車から降りて駆けていた。見つけたのは、なんと島の固有種で天然記念物のセマルハコガメの死がい。走行中の車にひかれ、無残にもぺしゃんこの姿になったものだった。 「きょうもどこかに動物の死がいが道路にある」という予想が日常的になったのはここ数年のことだ。全国的に観光客数は増加の一途をたどっているが、石垣島も例外ではない。島を訪れる人は年々増加、2017年には130万人を記録。今や人口4万8000人の小さな島が観光客であふれかえっている。これに伴って観光客の「アシ」の需要が増加、島内のレンタカーの利用台数も急増した。 レンタカー利用者の多くは、動物が飛び出してくることは極めて少ない「都市部」と同様に普段どおり車を運転する。しかも信号機が少ない島内では自然と速度も上がっていく。しかし、多種多様な生物が当たり前のように路上に飛び出してくる石垣島では、こうした運転は悲劇の引き金になってしまっているのだ。イヌやネコなど馴染みの深い動物からシロハラクイナ、セマルハコガメ、カンムリワシなどの固有種・希少種まで多くの動物が日々、路上で車にひかれ、放置されている。国の天然記念物で絶滅危惧種のカンムリワシの交通事故死を巡っては、2010年以降最多となる8件発生。八重山毎日新聞によると、今年に入り5羽がロードキル被害に遭い、うち3羽が死亡するなど今も深刻な状況が続いている。 幼い頃から動物好きだった仲井間君。中学校入学後には周囲の人間関係で悩んだ日もあったが、常に変わらずに寄り添ってくれる自然や動物の姿に心を打たれ、「動物には優しくしよう」と心に決めた。決意とは裏腹に登下校時などに飛び込んでくるのは道路のあちらこちらに放置された動物たちの死がい。その数は減らず島のどこに行っても目にする日常に心を痛めていたが、岡山理科大の辻維周准教授との出会いが仲井間君を変えた。 4年間に渡って毎晩、車で全長約150kmの島内主要道路を回って石垣島でロードキルの犠牲となった動物の個体調査を行っていた辻准教授。島の人間関係から仲井間君のお母さんと交友関係があったことから仲井間君と知り合った辻准教授はロードキルの本当の怖さを教えた。ロードキルの被害を受けた後、その死がいを食べるために他の動物が道路に出てきて、さらにロードキルの被害に遭う。二次被害、三次被害と広がっていき、負の連鎖が止まらなくなるのだという。およそ1年半前、祖父母から送られた荷物に入っていたのは、バーベキューに使う2本のトング。両親らが興味を示さない中、仲井間君が目を輝かして聞いた。「この2つ、自分がもらっていい?ロードキルのものを避けるために使いたいんだ」。 この日以来、祖父母のトングは島を見回るときには必ず持ち歩く相棒となった。今では家族と車で出かける際や登下校時などほぼ毎日、道路上に死がいがないかパトロールを欠かさなくなった。見回り中に死がいを見つけたら路肩の中に避ける。まだ生きていたら自宅に持ち帰って緊急保護したり、野鳥や野生生物の場合は動物病院に搬送したりするのが日課となった。 仲井間君の地道な取り組みは、石垣島の住民たちへ少しずつ、広がりを見せている。地元のレンタカー店のオーナーは「自分たちもお客様にスピードを出しすぎないよう、今まで以上に丁寧にお声がけをしていこうと思います」という。高校生の平田育さんは毎朝、新聞配達のアルバイトの際に、路上でひかれている動物を見かけたら片付けるように心がけている。市民レベルの小さな活動が出てきたが、自治体側は冷淡だ。辻准教授は「行政の取り組みはゼロに近い。目先の観光客数ばかりに気を取られ、一番の観光資源である自然には興味がない」と嘆き、仲井間君も「ドライバーに注意を促すような看板を立てたり、動物の通れるような道を作ったり欲しい」と訴えている。 地道な活動の甲斐あって、こうした取り組みはにわかに注目が集まっている。今年9月、北海道・知床で国内外から有識者が集った「2019年度日本環境共生学会学術大会」が開催された。シンポジウムでは辻准教授がロードキルの現状を伝えると同時に、トングを持ち歩き、死亡個体を道路外に移動させる仲井間君の取り組みを発表。日常的に行政の対策が行き届かない部分を市民がフォローアップできる方法として賞賛の声が相次いだのだ。仲井間君は「動物がひかれているのは島内の問題だけではない」といい、「車にトングを積んで、もし動物の死がいを見つけたらどかしてほしい」と願い続けている。本州では鹿やタヌキなど大きな個体の動物が山間部で多数ひかれているケースもあり、こうした場合は小さいトングでは対応できず手袋でつかむなど別の方法が必要になる。2005年12月に導入された「道路緊急ダイヤル」に連絡すると行政に回収を依頼できる。.
貴重な動物が多数生息する沖縄・石垣島で近年、異変が起きている。野生動物が車にはねられ死亡する「ロードキル」が激増しているのだ。「このままでは島の固有種が消える」。そんな思いから、島で起きる悲劇を食い止めようと立ち上がった少年がいる。中学2年の仲井間徳真君だ。日々、トング片手に島を見回る少年の姿を追った。「いた?」と問いかける母親に「草かなぁ、カエルっぽかった」と返すと、確認のためにすぐさま車から降りて駆けていた。見つけたのは、なんと島の固有種で天然記念物のセマルハコガメの死がい。走行中の車にひかれ、無残にもぺしゃんこの姿になったものだった。 「きょうもどこかに動物の死がいが道路にある」という予想が日常的になったのはここ数年のことだ。全国的に観光客数は増加の一途をたどっているが、石垣島も例外ではない。島を訪れる人は年々増加、2017年には130万人を記録。今や人口4万8000人の小さな島が観光客であふれかえっている。これに伴って観光客の「アシ」の需要が増加、島内のレンタカーの利用台数も急増した。 レンタカー利用者の多くは、動物が飛び出してくることは極めて少ない「都市部」と同様に普段どおり車を運転する。しかも信号機が少ない島内では自然と速度も上がっていく。しかし、多種多様な生物が当たり前のように路上に飛び出してくる石垣島では、こうした運転は悲劇の引き金になってしまっているのだ。イヌやネコなど馴染みの深い動物からシロハラクイナ、セマルハコガメ、カンムリワシなどの固有種・希少種まで多くの動物が日々、路上で車にひかれ、放置されている。国の天然記念物で絶滅危惧種のカンムリワシの交通事故死を巡っては、2010年以降最多となる8件発生。八重山毎日新聞によると、今年に入り5羽がロードキル被害に遭い、うち3羽が死亡するなど今も深刻な状況が続いている。 幼い頃から動物好きだった仲井間君。中学校入学後には周囲の人間関係で悩んだ日もあったが、常に変わらずに寄り添ってくれる自然や動物の姿に心を打たれ、「動物には優しくしよう」と心に決めた。決意とは裏腹に登下校時などに飛び込んでくるのは道路のあちらこちらに放置された動物たちの死がい。その数は減らず島のどこに行っても目にする日常に心を痛めていたが、岡山理科大の辻維周准教授との出会いが仲井間君を変えた。 4年間に渡って毎晩、車で全長約150kmの島内主要道路を回って石垣島でロードキルの犠牲となった動物の個体調査を行っていた辻准教授。島の人間関係から仲井間君のお母さんと交友関係があったことから仲井間君と知り合った辻准教授はロードキルの本当の怖さを教えた。ロードキルの被害を受けた後、その死がいを食べるために他の動物が道路に出てきて、さらにロードキルの被害に遭う。二次被害、三次被害と広がっていき、負の連鎖が止まらなくなるのだという。およそ1年半前、祖父母から送られた荷物に入っていたのは、バーベキューに使う2本のトング。両親らが興味を示さない中、仲井間君が目を輝かして聞いた。「この2つ、自分がもらっていい?ロードキルのものを避けるために使いたいんだ」。 この日以来、祖父母のトングは島を見回るときには必ず持ち歩く相棒となった。今では家族と車で出かける際や登下校時などほぼ毎日、道路上に死がいがないかパトロールを欠かさなくなった。見回り中に死がいを見つけたら路肩の中に避ける。まだ生きていたら自宅に持ち帰って緊急保護したり、野鳥や野生生物の場合は動物病院に搬送したりするのが日課となった。 仲井間君の地道な取り組みは、石垣島の住民たちへ少しずつ、広がりを見せている。地元のレンタカー店のオーナーは「自分たちもお客様にスピードを出しすぎないよう、今まで以上に丁寧にお声がけをしていこうと思います」という。高校生の平田育さんは毎朝、新聞配達のアルバイトの際に、路上でひかれている動物を見かけたら片付けるように心がけている。市民レベルの小さな活動が出てきたが、自治体側は冷淡だ。辻准教授は「行政の取り組みはゼロに近い。目先の観光客数ばかりに気を取られ、一番の観光資源である自然には興味がない」と嘆き、仲井間君も「ドライバーに注意を促すような看板を立てたり、動物の通れるような道を作ったり欲しい」と訴えている。 地道な活動の甲斐あって、こうした取り組みはにわかに注目が集まっている。今年9月、北海道・知床で国内外から有識者が集った「2019年度日本環境共生学会学術大会」が開催された。シンポジウムでは辻准教授がロードキルの現状を伝えると同時に、トングを持ち歩き、死亡個体を道路外に移動させる仲井間君の取り組みを発表。日常的に行政の対策が行き届かない部分を市民がフォローアップできる方法として賞賛の声が相次いだのだ。仲井間君は「動物がひかれているのは島内の問題だけではない」といい、「車にトングを積んで、もし動物の死がいを見つけたらどかしてほしい」と願い続けている。本州では鹿やタヌキなど大きな個体の動物が山間部で多数ひかれているケースもあり、こうした場合は小さいトングでは対応できず手袋でつかむなど別の方法が必要になる。2005年12月に導入された「道路緊急ダイヤル」に連絡すると行政に回収を依頼できる。
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