人件費や資材費の高騰による公共工事の入札不調が全国的に深刻化している。奈良市の小学校新築計画は、予算増額も否決され、再入札の見通しも不透明だ。コスト上昇に見通しが立たない状況で、自治体は苦悩を続けている。
人件費 と資材調達費の高騰を受け、全国各地で 公共工事 の 入札不調 が目立つ。 奈良市 の 小学校新築 計画はいったん約51億円の総事業費の予算が議会を通過したものの、入札に応じる業者がなかった。予算増額も暗礁に乗り上げ、やむなく内容を見直して再入札に挑むことになったが、応札業者が現れるかは不透明だ。コスト上昇がどこまで続くのか見通せないまま、自治体の苦悩が続いている。\ 奈良市 が計画するのは佐保小学校(法連町)の新校舎建設。昨年3月、複数年度にわたる事業費を約束する「債務負担行為」として約51億円の事業費を予算計上し、市議会が可決した。ところが同年8月の入札で参加業者が現れず、入札が成立しない「 入札不調 」に終わった。市は参加の意向を示していた業者への聞き取りを実施。資材価格や 人件費 の高騰が理由として約12億円の増額を9月議会に提案したが、議会側が高額であることや説明不足を理由に否決。市は12月議会に増額を9億6千万円まで減らして再び提案したが議会が認めず、原案の予算枠内での工事を余儀なくされることになった。\プールなどの工事を先送りにして校舎本体の工事に絞って建設費を圧縮し、今年1月中旬に2度目の入札を公告した。約51億円の予算で賄える範囲で入札を急ぐ考えだ。仲川げん市長は「議会の意思は、元の枠内でやれということだろう。他に方法がない」と不満を漏らす。名古屋市の国際会議場(熱田区)改修計画は施設整備から20年間の運営まで一括して契約するPFI方式を予定していたが、入札に応じる業者がなく、施設改修のみにサイズダウンして業者が決まった事例だ。同市は施設改修、立体駐車場や新館の新築をセットにして令和4年3月に426億円の事業費で入札を公告したが、不調に終わった。同年12月に 人件費 や 資材費 高騰分として106億円を増額した532億円で再入札に挑んだが、応札者が現れなかった。 公共工事 の入札制度に詳しい岐阜大学の加藤義人客員教授は「元の計画を分解し、工事ができるところで入札を行った形だ。全国共通だが、 人件費 と 資材費 の急高騰に入札がついていけていない」と話す。鹿児島県が鹿児島港の商業施設跡地で予定する新体育館の建設は、基本構想段階で245億円だった事業費が313億円に膨れ、昨年4月に入札を公告したものの不調に終わった。静岡県の県立図書館建設計画も当初に見込んだ事業費192億円では賄えないことが分かり、昨年10~11月に100億円を積み増した298億円で入札を受け付けたが、手をあげる事業者が現れず、計画見直しも余儀なくされている。\加藤氏が指摘するのは、事業の見積もりから入札実施までの時間の長さだ。「6月に見積もりを行い、12月に予算を協議し、3月議会で新年度予算が可決されれば、その後に入札を行う。下手をすると1年半の時間が経過し、その間にコストが上昇する。インフレ下なのに時間をかけすぎている」と行政事務の欠陥を指摘する。加藤氏は、12月の予算折衝の際に見積もりをし直して精度を高める▽予算可決後に速やかに入札を実施する▽急激なインフレ下では一定の予算の上乗せができるような制度にする-といった解決策を挙げ、「今は時間をノロノロかけることこそ最大のリスクだ」と強調した。(平岡康彦.
人件費と資材調達費の高騰を受け、全国各地で公共工事の入札不調が目立つ。奈良市の小学校新築計画はいったん約51億円の総事業費の予算が議会を通過したものの、入札に応じる業者がなかった。予算増額も暗礁に乗り上げ、やむなく内容を見直して再入札に挑むことになったが、応札業者が現れるかは不透明だ。コスト上昇がどこまで続くのか見通せないまま、自治体の苦悩が続いている。\奈良市が計画するのは佐保小学校(法連町)の新校舎建設。昨年3月、複数年度にわたる事業費を約束する「債務負担行為」として約51億円の事業費を予算計上し、市議会が可決した。ところが同年8月の入札で参加業者が現れず、入札が成立しない「入札不調」に終わった。市は参加の意向を示していた業者への聞き取りを実施。資材価格や人件費の高騰が理由として約12億円の増額を9月議会に提案したが、議会側が高額であることや説明不足を理由に否決。市は12月議会に増額を9億6千万円まで減らして再び提案したが議会が認めず、原案の予算枠内での工事を余儀なくされることになった。\プールなどの工事を先送りにして校舎本体の工事に絞って建設費を圧縮し、今年1月中旬に2度目の入札を公告した。約51億円の予算で賄える範囲で入札を急ぐ考えだ。仲川げん市長は「議会の意思は、元の枠内でやれということだろう。他に方法がない」と不満を漏らす。名古屋市の国際会議場(熱田区)改修計画は施設整備から20年間の運営まで一括して契約するPFI方式を予定していたが、入札に応じる業者がなく、施設改修のみにサイズダウンして業者が決まった事例だ。同市は施設改修、立体駐車場や新館の新築をセットにして令和4年3月に426億円の事業費で入札を公告したが、不調に終わった。同年12月に人件費や資材費高騰分として106億円を増額した532億円で再入札に挑んだが、応札者が現れなかった。公共工事の入札制度に詳しい岐阜大学の加藤義人客員教授は「元の計画を分解し、工事ができるところで入札を行った形だ。全国共通だが、人件費と資材費の急高騰に入札がついていけていない」と話す。鹿児島県が鹿児島港の商業施設跡地で予定する新体育館の建設は、基本構想段階で245億円だった事業費が313億円に膨れ、昨年4月に入札を公告したものの不調に終わった。静岡県の県立図書館建設計画も当初に見込んだ事業費192億円では賄えないことが分かり、昨年10~11月に100億円を積み増した298億円で入札を受け付けたが、手をあげる事業者が現れず、計画見直しも余儀なくされている。\加藤氏が指摘するのは、事業の見積もりから入札実施までの時間の長さだ。「6月に見積もりを行い、12月に予算を協議し、3月議会で新年度予算が可決されれば、その後に入札を行う。下手をすると1年半の時間が経過し、その間にコストが上昇する。インフレ下なのに時間をかけすぎている」と行政事務の欠陥を指摘する。加藤氏は、12月の予算折衝の際に見積もりをし直して精度を高める▽予算可決後に速やかに入札を実施する▽急激なインフレ下では一定の予算の上乗せができるような制度にする-といった解決策を挙げ、「今は時間をノロノロかけることこそ最大のリスクだ」と強調した。(平岡康彦
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