『シックス・センス』(1999)の公開から、先の読めない展開や想像を超えるラストが話題を集め、映画界に新たな旋風を巻き起こしてきた M・ナイト・シャマラン監督。そんな鬼才のDNAを受け継いだ娘、イシャナ・ナイト・シャマランがホラー映画『ザ・ウォッチャーズ』で長編監督デビューを果たす。今作でプロデューサーを務める父との関係やA.M.シャインのホラー小説をデビュー作に選んだ理由を、イシャナ・ナイト・シャマランが語ってくれた。
“監視者たち”とは一体なにものなのか? A.M.シャインの原作を基にした『ザ・ウォッチャーズ』は、アイルランドの鬱蒼とした森に迷い込んでしまうミナ(ダコタ・ファニング)の姿を描く。助けを求めた先で辿り着いた不思議な小屋には、同じように森の中から抜け出せなくなった見知らぬ3人の男女がいた。そこで、ミナは“監視者たち”の存在を知る。得体のしれない“監視者たち”は、彼らのルールを守り、森から逃げようとせず、毎晩自分たちを観察さえさせれば、小屋にいる人たちを襲うことはない。“監視者たち”は何者で彼らの目的は一体何なのか? 森からの脱出は不可能なのか? 謎と恐怖に包まれた鮮烈なデビュー作について、イシャナ・ナイト・シャマランに聞いた。 ──長編監督デビューとなりますが、A.
Mシャインの原作小説のどこに惹かれたのでしょうか? A.M.シャインの小説には素晴らしい魅力が詰まっていて、小説を読んだときにグッと心を掴まれながらも、とてつもない恐怖を感じました。そういう感情を抱かせる文学作品と出合うことはそうないことなので、ものすごい吸引力を持っていると思ったんです。そして本を読み終えたときに、小説に描かれている独特の美しい世界をヴィジュアル化することに無限の可能性を感じました。思いがけない場所に連れて行ってくれるような、世界の広がりがとても印象的でした。そこに畏敬の念を抱き、今作をなんとかして劇場という場所で披露したいと思ったんです。 ──あなたが思う今作の見どころを教えてください。 映画のベースはサスペンスなので、最初のつかみは観ている人たちを不穏な気持ちにさせる意図を持って作りました。そして自分たちからは何も見えないという恐怖を駆り立て、そこから次第に物語は展開し、最終的には思ってもみなかった、想像を超えたラストへと導かれていく。そういった展開自体を楽しんでもらえることを期待しています。 ──ダコタ・ファニングをはじめ、脚本を執筆している段階でキャストはイメージされていたのでしょうか? 脚本を書く段階でアイデアとして直感的に閃いたのが、ダコタでした。幸運にも彼女が本作に興味を持ってくれたので、そこからはパズルのピースがはまるように、素晴らしいアンサンブルのキャストたちが決まっていきました。アイルランドに4カ月滞在し、準備期間に2カ月強かけ、その後40日ほどで撮影を行いました。 ──撮影での最大の苦労は? 森の中でのシーンはすべてが挑戦でした。というのも、撮影に入るまで気がつかなかったのですが、周囲が木々で覆われているのでフレームミングが難しく、カメラの動きが制限されてしまうんです。機材の搬入が困難だということも、後から気づいた大きな問題の一つでした。なので、もともと想定していた複雑な動きをどう撮影すべきか、改めて考え直す必要に迫られました。限られた条件の中でいかにイメージしていたシーンを撮るか、みんなで頭をフル回転させることになりましたが、ある意味、謎解きのような感覚を味わうことができました。 「父と私は結局のところ、似たもの親子なのだと思います」 ── 今作は“見られている”というのがテーマの一つになっています。あなたの父親であるM・ナイト・シャマラン監督の『ヴィレッジ』(2004)も、登場人物が謎めいた人物に観察され、特定の場所に閉じ込められるというものでした。もちろん『ザ・ウォッチャーズ』と『ヴィレッジ』はまったく異なる作品ですが、設定などについてお父様と話をされたりしましたか? 確かに「見られる」という設定は似ていますが、今作の制作にあたって『ヴィレッジ』の話は一度もしませんでした。なぜなら、今おっしゃられたように父も私も映画自体はまったく違う物語だと感じていたからです。とはいえ、父は今作の制作にあたり、いろいろと助け船を出してくれました。観客の人たちにどこか居心地が悪く、落ち着かない気分を感じてもらうためには、どのようなヴィジュアルにまとめるのが良いか、映画的にどのように見せたら効果的かといった話をたくさんしました。 ──過去にもドラマ「サーヴァント ターナー家の子守」で、お父様と仕事をされていますが、自身の監督作で父親と仕事をするというのはどのような感覚なのでしょうか? おそらくどんな子どもでも感じるだろう、「微妙な感覚」というのはもちろんあります(笑)。ただ、一方でインド人の娘として父を誇りに思い、父に敬意を持っています。そんな両方が入り混じった奇妙で複雑で美しい関係なんです。親子ではありますが、クリエイティブな面での師弟関係のような感覚もあります。ただ、結局のところ私たちは似たもの親子なんだと思います。 アート話に花が咲くシャマラン家の食卓 ──作風にもお父様の影響を強く感じますが、シャマラン家の食卓では、常に映画の話題が中心だったのでしょうか? 映画に限らず、いつでもいろんなアートの話が飛び交っていました。シャマラン家はアートを中心に回っていたので、父が映画制作に入るときには必ず私たちも家族も同行していました。父はいつでも姉や私を側においてくれていたので、私は幼い頃から父親と一緒にオーディションの様子を見たり、撮影現場に行ったりしていたんです。父の映画が制作に入る前には、私も脚本をすべて読んでいました。幼いころから映画というアートの制作過程の中に入り込み、構想段階から完成までを見ることができるというのは、とても素晴らしい経験でした。ですから、自然の流れで私たちは映画の話もしていましたし、映画に限らず音楽や絵画といったさまざまなスタイルのアートに触れ、それらにインスパイアされるようになった。そういった共通の感覚があるからこそ、家族みんなで一緒に何かをしたり、話しをしたりするのが大好きなんだと思います。 ──今作の制作においても、アドバイスは受けましたか? はい。アドバイスをもらう一方で、さまざまな形でコミュニケーションを図ったことで、父の知られざる部分を見ることができました。父は映画を制作するたびに感じる苦しみや重圧を、私も味わわなければいけないことを、内心とても心配したんです。そこで、私の方が「お父さん、これはみんなが通る道だから大丈夫。心配しないで」と父を励ましていました(笑)。でもそういう苦悩とも孤独で向き合うのでなく、父が居てくれる。そういう意味でも、私は本当に幸せで恵まれていると思っています。 ──あなたにとって特別な思い入れのあるM・ナイト・シャマラン作品は? 忖度なしにどの作品も大好きで、アーティストとしての父の才能を心から尊敬していますが、1作選ぶとしたら、『レディ・イン・ザ・ウォーター』(2006)です。個人的に主人公とつながる部分があり、一視聴者としても本当に素晴らしい魔法のような映画だと思っています。 衝撃のラストを生み出す秘策はあるのか? ──映画作りを生業にしようと決めたのは? 初めて撮った映画作品と、感動をした映像体験と合わせて教えてください。 中学生の頃から一眼レフを片手に撮影に出かけ、iMovieでミュージックビデオやショートフィルムを作っていました。どれもひどい出来でしたが(笑)。そんな中、本格的に映画作りを仕事にしようと思ったのは大学1年生のときです。短編映画の制作費用を捻出するためにバイトを掛け持ちしたりしていたときに初めて、自分はプロとしてやっているんだと実感し、これを続けたいと思った。私にとってはとても大きな経験でした。友人たちと撮影をし、自宅で編集作業を行ったりしたしたこの体験が、私に映画作りの楽しさと映画への愛を教えてくれました。 ──今作もそうですが、シャマラン映画にはネタバレ問題というものが存在します。人々がつい口にしたくなる、衝撃のラストを生み出す秘訣があれば教えてください。 今は誰もが観た瞬間すぐにコメントを発信する時代なので、ネタバレを防ぐのは不可能に近いと思っています。ただ、個人的には物語の流れと意表を突く展開というのは常に観客のワクワク感を高揚させると思っているので、私も観客の側に立って物語を考えるようにしています。 『ザ・ウォッチャーズ』 監督/イシャナ・ナイト・シャマラン 出演/ダコタ・ファニング、ジョージナ・キャンベル、オルウェン・フエレ、アリスター・ブラマー、オリバー・フィネガン 6月21日全国ロードショー https://wwws.warnerbros.co.jp/thewatchers/index.html Interview & Text: Rieko Shibazaki
ダコタ・ファニング / Dakota Fanning インタビュー / Interview イシャナ・ナイト・シャマラン / Ishana Night Shyamalan
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