映画「ドライブ・マイ・カー」に登場する、サーブ 900。 何者にも似ていない独特のシルエットをもち、バブル時代の日本で人気を集めた。 ドライブ・マイ・カー サーブ900
ここで言うサーブ900は、スウェーデンの航空機メーカー「SAAB」の自動車部門であったサーブ・スカニアが、1978年から1993年まで製造販売していたモデルだ。だが、いかにも航空機メーカー傘下らしいキャノピー(航空機のコクピットを覆う透明な円蓋)を思わせる湾曲したフロンドウインドウや、「絶妙な尻下がり」が魅力となる斜め後ろからの画像などを見れば、「ああ、アレですか!」と、約30年前の記憶が即座に蘇るはずだ。前述のキャノピー的フロントウインドウや尻下がりのフォルムは言うに及ばず、運転席のインストゥルメンタルパネルの作りもまた航空機ライク。自動車とともに空への憧れも抱きがちだった往時の男子高校生や大学生は、それを自動車雑誌(というのも今や懐かしい単語だが)で眺めながら「うぐぐ……」と、憧憬をつのらせたものだ。 搭載エンジンは2リッター直列4気筒DOHCの自然吸気またはそのターボチャージャー付き。特に「ターボ16S」に搭載されたターボエンジンは、今にして思えば最高出力160psとかわいいスペックなのだが、当時はそのドッカンターボぶりが好評というか伝説となった。そしてその結果、多くの(というか一部の)若い男子が「いつかはサーブ900ターボ16S……」と心に誓ったのだ。サーブ 900(初代)|Saab 900(Classic 900) 1979年から1994年まで生産していた通称クラシック900と呼ばれる初代サーブ900。何者にも似ていない独特のシルエットをもち、バブル時代の日本で人気を集めた。写真はターボエンジンを搭載した「16S」。多彩なボディをラインナップしていたのも特徴。写真のカブリオレのほか、2ドアと4ドアのサルーン、同じく2ドアと4ドアのハッチバックを用意していた。そんなサーブ900は1993年に2代目へとフルモデルチェンジされた。これは、スウェーデンの独立メーカーだったサーブが1990年に米国GM傘下となったことを受けてのモデルチェンジだった。これ以降、サーブ900あるいはその後の9-3は、GM系の車台等を共用することになる。 つまり、その後も細かなデザインこそある程度継承されたが、本質の部分ではやや無国籍風というか、「汎用多国籍車」とでも呼びたいニュアンスのクルマに変わってしまったのだ。北欧の航空機メーカーを源流とする自動車ならではの「異彩」が減じてしまった──ということだ。 そのせいかどうかはさておき、サーブ・オートモービル社製乗用車の人気はその後低迷。親会社であるGMの経営破綻や、オランダ系企業あるいは中国系企業へのブランド譲渡等々の大混迷を経て、結局のところ自動車における「サーブ」という名称は2016年に、ほぼ完全に消滅した。.
ここで言うサーブ900は、スウェーデンの航空機メーカー「SAAB」の自動車部門であったサーブ・スカニアが、1978年から1993年まで製造販売していたモデルだ。だが、いかにも航空機メーカー傘下らしいキャノピー(航空機のコクピットを覆う透明な円蓋)を思わせる湾曲したフロンドウインドウや、「絶妙な尻下がり」が魅力となる斜め後ろからの画像などを見れば、「ああ、アレですか!」と、約30年前の記憶が即座に蘇るはずだ。前述のキャノピー的フロントウインドウや尻下がりのフォルムは言うに及ばず、運転席のインストゥルメンタルパネルの作りもまた航空機ライク。自動車とともに空への憧れも抱きがちだった往時の男子高校生や大学生は、それを自動車雑誌(というのも今や懐かしい単語だが)で眺めながら「うぐぐ……」と、憧憬をつのらせたものだ。 搭載エンジンは2リッター直列4気筒DOHCの自然吸気またはそのターボチャージャー付き。特に「ターボ16S」に搭載されたターボエンジンは、今にして思えば最高出力160psとかわいいスペックなのだが、当時はそのドッカンターボぶりが好評というか伝説となった。そしてその結果、多くの(というか一部の)若い男子が「いつかはサーブ900ターボ16S……」と心に誓ったのだ。サーブ 900(初代)|Saab 900(Classic 900) 1979年から1994年まで生産していた通称クラシック900と呼ばれる初代サーブ900。何者にも似ていない独特のシルエットをもち、バブル時代の日本で人気を集めた。写真はターボエンジンを搭載した「16S」。多彩なボディをラインナップしていたのも特徴。写真のカブリオレのほか、2ドアと4ドアのサルーン、同じく2ドアと4ドアのハッチバックを用意していた。そんなサーブ900は1993年に2代目へとフルモデルチェンジされた。これは、スウェーデンの独立メーカーだったサーブが1990年に米国GM傘下となったことを受けてのモデルチェンジだった。これ以降、サーブ900あるいはその後の9-3は、GM系の車台等を共用することになる。 つまり、その後も細かなデザインこそある程度継承されたが、本質の部分ではやや無国籍風というか、「汎用多国籍車」とでも呼びたいニュアンスのクルマに変わってしまったのだ。北欧の航空機メーカーを源流とする自動車ならではの「異彩」が減じてしまった──ということだ。 そのせいかどうかはさておき、サーブ・オートモービル社製乗用車の人気はその後低迷。親会社であるGMの経営破綻や、オランダ系企業あるいは中国系企業へのブランド譲渡等々の大混迷を経て、結局のところ自動車における「サーブ」という名称は2016年に、ほぼ完全に消滅した。
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