【トリノ=千葉大史】主要7カ国(G7)は30日の気候・エネルギー・環境相会合で共同声明をとりまとめ、閉幕した。排出削減対策をとらない石炭火力発電を段階的に廃止し、再生可能エネルギーの拡大に欠かせない蓄電容量を世界で2030年に22年比で6.5倍に増やすことで合意した。石炭火力は化石燃料のなかでも二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスの排出量が多い。今回のG7会合で共同声明に段階廃止を盛り込んだ。廃
35年以降も石炭の活用を想定するのは再生エネと蓄電池の導入拡大、原発の再稼働で増える電力の供給量が石炭火力を補える水準になるまで一定の期間を要するとの判断がある。生成AI(人工知能)の普及で電力需要が増える予測が出てきたことも一因となる。
合意した石炭火力の廃止対象は「排出削減対策をとらない石炭火力」としている。発電時に排出するCO2を回収して貯留することで排出を実質ゼロにする技術などを具体策に想定する。ただ、35年までに日本がどの程度活用できるかは見通せていない。 日本政府は5月の大型連休明けから電源構成の議論に着手し、40年度までを見すえた次期エネルギー基本計画を24年度中に策定する。電源構成の7割を占める化石燃料の脱炭素が欠かせない。石炭など火力発電の排出削減対策の技術導入に道筋をつけながら、電源構成の割合について議論する見通しだ。中国は23年に再生エネの設備容量が全体の5割を超え、初めて火力発電を上回った。太陽光の発電設備は24年3月末に前年比で55%、風力は同22%増えた。中国企業は太陽光パネルの世界シェアで8割を握り、風力発電の部品でも存在感を高める。
大気汚染や原油輸入による貿易赤字に直面するインドも再生エネの利用を推進し、再生エネの設備容量は全体の4割程度を占める。議長国を務めた23年の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の首脳宣言は再生エネの容量を30年までに3倍にする目標を盛り込み、3カ月後の第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)の合意内容を先導する形になった。 中印の動きを受け、日米欧は再生エネを巡る経済安全保障の強化に向けた対応策を急ぐ。ひとつが共通ルールの策定だ。日本と欧州連合(EU)は5月にも脱炭素分野の支援策や公共調達に関する共通ルールづくりで合意する。
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