[社説]米中は事態悪化を回避する努力続けよ
ブリンケン米国務長官と中国の外交担当トップ、王毅氏が訪問先のドイツ・ミュンヘンで会談した。米中の外交トップが対面で会うのは、4日に米国で中国の「偵察気球」を米軍が撃墜してから初めてになる。米国務省によると、ブリンケン氏は「開かれた対話ルートを維持するのが重要だ」と伝えた。中国国営通信の新華社は、王氏が米国側の求めに応じてブリンケン氏と「非公式に接触」したと発表している。緊張を和らげる道を探るため、中国側が実質的な会談を受け入れたのは評価できる。
もっとも気球問題で進展があったわけではない。ブリンケン氏は偵察気球を「米国の主権や国際法の侵害だ」と断じ、再発防止を求めた。王氏は米国による気球の撃墜をやり玉に挙げ「武力の乱用が両国関係にもたらした損害を直視すべきだ」とむしろ米側に態度を改めるよう要求した。 中国の米国に対する言い草は、お門違いも甚だしい。経緯はどうあれ、中国側が気球を米領空に侵入させた事実について、まず謝罪すべきだ。米国は中国がこれまで40カ国以上の領空に偵察気球を飛ばしたとみている。これらの事実関係についても、中国は明らかにすべきである。実際、米国防総省によると、米国が気球撃墜後に求めたオースティン国防長官と魏鳳和国防相の電話協議を中国側は拒否している。国防当局間の意思疎通は意図しない衝突の回避に欠かせない。中国は協議に応じるべきだ。ロシアの侵攻を助長し、被害の拡大につながりかねないロシアへの支援は断じて認められない。中国は自制すべきだ。
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