韓国国会で尹錫悦大統領への弾劾訴追案が不成立となった。
尹氏はひとまず、大統領の職にとどまることになった。だが、世論調査では国民の7割が弾劾訴追に賛同していた。野党は国会で過半数を占めている。予算案や法案の成立は見通せず、閣僚らの弾劾も続くであろう。尹氏は7日午前の謝罪談話で「私の任期を含め、今後の政局安定策はわが党(与党)に一任する」と述べたが、国民の納得は得られまい。求心力回復の見込みが立たない尹氏は、いつまで大統領の座にとどまれるのだろう。韓国政治の混乱が続くことは必至だ。
そこで留意すべきは、北東アジアには北朝鮮や中国、ロシアという核武装した専制国家が存在する点である。特に北朝鮮はウクライナを侵略するロシアに加担している。ロシアが北朝鮮の核・ミサイル戦力強化に手を貸すことで脅威は深刻化する。北朝鮮による軍事的挑発、世論工作も警戒せねばならない。 尹政権の政策全てが否定されるのは極めて危うい。現実的な安全保障観を持っていた尹政権は、親北左派の文在寅政権下で過去最悪となった日本との関係改善を進めた。米韓同盟の強化にも努めた。米国の核戦力を含む拡大抑止の強化を求め、昨年8月の日米韓首脳会談では「台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認」した。 対照的なのが野党側だ。最大野党「共に民主党」が中心に起草した弾劾訴追案は、尹氏を「北朝鮮、中国、ロシアを敵視し、日本中心の奇異な外交政策に固執した」「日本寄りの人物を政府の要職に任命するなどの政策で東アジアで孤立を招き、戦争の危機を引き起こした」と批判した。まるで北朝鮮や中国の立場で世界を見ているようだ。尹政権による外交安保政策が失速すれば日米韓協力による抑止が損なわれ、かえって「戦争の危機」を高めかねない。
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