札幌市と日本オリンピック委員会(JOC)が11日、2030年冬季五輪招致を断念し、34年以降の開催へ目標を変更すると表明した。大会招致への理解が広まらず、支持…
30年大会の招致は当初、札幌が優勢だった。しかし、21年東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職・談合事件などが影響し、市民の招致熱は冷え込んだ。事件に対する検証も十分になされたとはいえない状況で、招致ばかりが先行していた感は否めない。
札幌市やJOCも動いてはきた。昨年9月には、クリーンな大会実現に向けた宣言を公表した。効果は小さかった。信頼回復は時間が解決してくれるものではない。34年以降を目指す道のりでも、抱える課題は変わらない。続く〝逆風〟への有効策は、いまだに見えていないのが現状だ。 JOCの山下泰裕会長は「明確な大会開催の意義が見えないといったところもあった」と語った。実際、札幌で冬季五輪を開催する意義についての説明は具体性を欠く。温暖化による気候変動で冬季五輪の開催候補地は限定される。天然雪に恵まれる札幌で、持続可能な冬季大会のあり方を世界に示していく意義は小さくない。大会招致が、地元住民にも大きな恩恵があることを、力強い言葉で明確に打ち出す必要もある。
それができないのであれば、招致活動自体から撤退することも選択肢になる。冬季五輪の招致活動は14年から続き、開催時期が引き延ばされれば、招致に絡む経費がさらに膨らむ可能性もある。札幌市だけでなく、スポーツ界も真摯に考え抜かなければならない。(小川寛太)
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