10日から全国旅行支援再開 割引率減も春先の予約好調 予算がなくなり次第終了となるため、支援期間は都道府県でばらつきが出る見通しだが、観光庁の担当者は「3月末までは利用するのに十分な額を用意した」と話す。
政府の観光需要喚起策「全国旅行支援」が年末年始の一時中断を経て10日から再開される。再開後は旅行代金の割引率が従来の40%から20%に縮小されるが、2月後半以降の春先を中心に、宿泊や航空など関連業界の予約は増加傾向でおおむね好調という。全国にホテル施設を持つ西武・プリンスホテルズワールドワイドでは、既に品川プリンスホテル(東京都港区)の3月の予約が昨年比約2・3倍に増えている。旅行大手のJTBも「2~3月の予約が活発に動いている」と指摘。日本航空によると、国内線の予約状況も、1~2月は影響が小さいものの、3月搭乗分は伸びているという。
全国旅行支援は国から財政支援を受けた都道府県が実施。予算がなくなり次第終了となるため、支援期間は都道府県でばらつきが出る見通しだが、観光庁の担当者は「3月末までは利用するのに十分な額を用意した」と話す。 再開後の割引上限額は、1人1泊当たり公共交通機関を利用した交通費込みの旅行商品が以前の8千円から5千円に、日帰りを含むそれ以外の旅行は5千円から3千円に引き下げられた。旅先の飲食や買い物などに使えるクーポン券も平日は以前の3千円から2千円に減額となるが、休日の1千円は据え置いた。 年明け後に増加傾向にある新型コロナウイルス感染の動向は気になるところだが、支援再開を前に、斉藤鉄夫国土交通相は6日の閣議後記者会見で「基本的な感染対策を徹底し、各地を訪れてほしい」と制度の活用を呼びかけている。
政府は今回、観光業界が閑散期に入る年始の連休明けを旅行支援の再開日としたが、1月中の予約の伸びは鈍く、需要を支える状況には至っていない。ある旅行業界関係者は「(国が)再開を決めた時期が遅く、旅行者が年明けの旅行を計画しづらかったのではないか」と漏らす。もっとも、足元の需要は増え始めており、コロナ禍で疲弊した観光業界は支援効果に大きな期待を寄せている。(浅上あゆみ)