7月から経済アナリスト馬渕磨理子(marikomabuchi)さんによる、新連載「馬渕磨理子の今月の気になる数値」をスタート。初回の数値は「150円」。 →1ドル「150円」も想定内?円安進行の理由は金利差拡大だけではない
初回の気になる数値は「150円」。その意味するところは予想できるかもしれない。そう、円安の話だ。
為替相場は、1ドル=135円をあっさりと超え、約20年ぶりの安値を更新した。現在の水準は通過点に過ぎず、1ドル=150円も視野に入るとの見解もある。想定外の事が連続して起こり得る時代において、一見ありえそうにない数字の仮説・シナリオを事前に立てておくことが、身を守る一つの手段だ。米国だけでなく、欧州も7月にユーロの利上げを決め、スイスのフランも6月16日に15年ぶりの利上げに踏み切った。スイス中央銀行は、先進国のなかでも低金利と通貨安の必要性を公言していただけに、利上げ発表後のマーケットは動揺を隠せない動きとなった。「為替をターゲットに政策運営することはない」つまり、急速に進む円安を阻止するよりも景気を下支えする金融緩和を優先しているということだ。そして、日銀側にも利上げができない理由が存在する。日銀はこれまで、低金利の国債を大量に買い入れているため、その残高は500兆円を超える。金利を引き上げれば、その利払いの負担が増すといった事情もある。
ただ、このままでは大幅な利上げを続ける米国との金利差はこの先も広がる可能性が高く、エネルギーや穀物などの輸入品のさらなる物価上昇につながる恐れがある。早すぎる円安のスピードは日本経済に与える影響が大きく、メリットとデメリットの両方の側面が存在する。 デメリットは輸入品の高騰によって家計へのダメージが発生することだ。一方で、円安は製造業にはプラスの側面がある。円安をテコに海外に向けて製品を魅力的な価格で提供できる。トヨタは1円の円安で400億円のプラスとの試算もあるほどだ。インバウンド需要の面でもメリットは大きい。外国人旅行者にとって円安は魅力的であり、入国制限が解除されるにつれて圧倒的な消費が見込まれる。コロナ以前のインバウンドのピーク時である2019年、その消費額は4兆8000億円だった。2019年の水準にまで戻るには時間がかかるとはいえ、ダメージを受けていた日本のサービス業にとっては恵の消費になることは間違いない。
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