昨年、前年比2倍近い81館がクローズした韓国映画界。スクリーンの灯りを消さないため、なり振り構わぬ生き残りの苦闘が続いている。新型コロナウイルス コロナ禍 韓国 韓国映画 映画館 ゲーマー お笑い デリバリー
韓国映画振興委員会が発表した「2021年1月の韓国映画産業決算資料」によると、今年1月の観客数は全国で179万人、売り上げは158億ウォンに留まった。これは、2004年に入場券の集計を始めて以来最低の観客動員だったという。昔から「映画館の儲けは、チケット代ではなく館内の飲食代から出る」と言われてきた。1月中旬に開始が発表された「映画館メニュー出前サービス」の報道を見たとき、なるほどなぁと感心したものである。
韓国は元々出前大国だが、コロナ禍でさらにデリバリーサービスを利用する人が増加した。そして映画館へ行きたくても行きづらい状況が続き、ネットフリックス等配信系動画サービスの普及により家で映画を楽しむ人が増えた。家で映画鑑賞をする際、映画館の雰囲気を少しでも堪能したい人たちがこのサービスを利用しているようだ。 映画館で販売しているポップコーンや炭酸飲料はもちろん、イカのバター焼き、ホットドッグなど全てのメニューが注文でき、現在韓国3大シネコンのうちCGVとロッテシネマが実践している。両社ともに「今後デリバリーに特化したメニュー開発を行っていく」と発表していることから、どうやら好評なようである。まず、興行に陰りが見えだした去年の4月に始まったのが「映画館貸し切りプライベート上映」だ。CGV系列の中でも特に客足が芳しくなかった3館の14時、16時半、19時の回を2時間(映画1本)2人で3万ウォン(10名まで1人につき+1万ウォンで追加可能)という破格の料金設定で貸し出して話題となった。もちろんチケットはすぐに完売したという。その後、他の映画館でも同様の貸し出しサービスが行われている。
アメリカでも昨年10月頃から、一部の映画館で「プライベート上映」サービスを見かけるようになったが、こちらは人数制限がないものの平均して2時間100ドルと、なかなかの値段設定である。こう見ると韓国はかなり早い段階から思い切ったコロナ対応の営業に切り替えたように思う。