避難所で夜を明かした住民は 薬や携帯電話なく不安の声も 突然の土石流の発生で十分な準備ができないまま避難したため、財布や携帯電話、薬などが手元にない人もいて、家族と連絡ができないなど不安な状況で過ごしています。
伊豆山地区から避難してきた太田滋さん(65)は「土石流が起きた時は家にいました。斜面の上の方から家などが『流れてきた』というより『飛んできた』と感じるくらい流れが速かったです。自宅の畑にも家や車が流れてきてとても恐ろしく、家族4人でなんとか逃げてきました。テレビなどで見るかぎり自宅の1階は土砂で埋まっていると思います」と話していました。息子の樹さんは「最近、兼業から専業の農家になり、ことしからやっと地元のスーパーに卸すことができるようになったばかりでした。畑で収穫したばかりの『ジャガイモ』やこれから収穫する『夏みかん』などがダメになったかもしれません」と肩を落としていました。また中学校に設けられた避難所にいる81歳の男性は「近所の方から『急いで避難してください』と言われ、サンダル履きのまま何も持たずに自宅を出た。携帯電話がないのでしばらく家族と連絡が取れず、お金もないからいまも何も購入できない。ちょっとだけでもいいから自宅に帰らせてほしい」と話していました。
また、61歳の男性は「自宅の2階から山津波のような土石流が見え、これはまずいと急いで逃げた。ポケットに財布を入れたつもりだったのがタバコだったことにあとで気がついた。財布には保険証やクレジットカードが入っているが、いまは持ち合わせていない。兄は糖尿病を患っていて、一部の薬は冷蔵庫に入れているので取りに帰りたい。自宅エリアは規制されていて、入れてもらえるか分からない。いつ家に帰れるのか、情報が一切ないので、避難所のみんなも困っている」と話していました。 娘夫婦と避難してきた80歳の女性は「『これ以降迎えは来ない』と言われて、何も持たずに車で逃げてきた。娘夫婦は職場から直接避難所に来て、くしや歯磨き粉もない。きょうは寒く、厚めのズボンを取りに戻りたい。1人では持ちきれなかった」と話していました。