酒をやめると甘党になる理由 お酒の量で食事パターンが変化
順天堂大学大学院医学研究科の杉本真理氏らによる研究グループは、文京区在住の65歳から84歳の高齢者1612人を対象に、お酒の強さと食事パターンの関連性について調査を行いました。まず、これらの人々の食事歴を調べたところ、3つの食事パターンが見出されました。魚、野菜、芋、大豆製品、果物をよく食べ、白米はあまり食べない「和食副菜型」、魚介類、大豆製品、酒が多く、菓子、紅茶、コーヒーはあまり採らない「和食アルコール型」、肉、麺類、酒が多く、白米や味噌汁が少ない「洋食アルコール型」です。
これを、アルコールの耐性、つまりお酒の強さを決める遺伝子(ALDH2遺伝子多型)の測定結果と見比べると、お酒に強い人は男女とも明らかに「和食アルコール型」と「洋食アルコール型」が多いという結果になり、お酒の強さと食事パターンと関連性が認められました。 しかし、飲酒量に限って関連を調べると、酒の強さとは関係なく、飲酒量で食事パターンが変化することがわかりました。たしかに、酒の強さを決める遺伝子が食事パターンに影響をしていますが、むしろそれを決定しているのは酒量のほうだったということです。 だから、お酒を止めると甘い物が食べたくなるというように、酒量が変わることで好みの変化が起こり、食事パターンが変わるというわけです。なので、健康のために禁酒や節酒をするときは、自分の食事の好みの変化をとくに意識するべきでしょう。頑張って酒を断っても、そのぶん甘い物を食べ過ぎてしまっては意味がありませんからね。
ALDH2遺伝子多型は、さまざまな疾患との関連性も報告されていますが、今回の研究結果から、飲酒量や食事パターンもそこに関連している可能性が出てきました。研究グループは、今後も遺伝子と生活習慣の関連性を踏まえた個別化予防や医療の実現を目指すとしています。
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