ドナルド・トランプ前米大統領は、安倍晋三元首相のことを親しみを込めて「シンゾー」と呼んだ。同様に、ジョージ・ブッシュ元大統領(子)も現職時代、父親の時代には…
ドナルド・トランプ前米大統領は、安倍晋三元首相のことを親しみを込めて「シンゾー」と呼んだ。同様に、ジョージ・ブッシュ元大統領(子)も現職時代、父親の時代には一時期敵国だった日米が、息子の時代には緊密な関係を築いているとして、小泉純一郎元首相のことをよく演説で取り上げていた。ブッシュ側近の間では、その一節は「コイズミ・パート」と呼ばれていた。米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」研究員として、父親の訪米を間近で見たのが小泉進次郎元環境相だった。政治家の父子の関係は時に微妙だが、進次郎氏は父親を素直に尊敬していた。その進次郎氏が国会議員となって、19年5月にワシントンを訪れ、CSISで講演した際、「ジョン・F・ケネディ大統領のように、私も日本国民を鼓舞し、すべての改革を実行するため、全力を尽くす覚悟だ」と述べた。進次郎氏の理想は、ブッシュ大統領ではなくケネディ大統領だったのである。
ケネディ氏が大統領に就任したのは43歳の時だった。進次郎氏が自民党総裁選で勝利し、第102代首相に選出されたら43歳6カ月弱となる。ケネディ氏が大統領に就任したのは43歳8カ月弱だったので、進次郎氏の方が若干若いことになる。 何よりも、進次郎氏が首相になると、1885(明治18)年に伊藤博文が44歳で初代首相になった最年少記録を破ることになる(戦後で最も若いのは安倍元首相の52歳)。進次郎氏はこのことを当然意識しているだろう。進次郎氏というと「脱炭素」の印象が強いが、最近は原発を容認する立場に転換する姿勢を示している。環境相時代、2030年度の温室効果ガス排出を46%(13年度比)削減する目標を定めた際、TBS番組で46%とした根拠として、「おぼろげながら浮かんできた」と発言したことが批判された。エネルギー政策を明確に説明してほしい。世界の指導者には40代も相次いでおり、自民党が進次郎氏の新鮮さを売りに戦うことはあってもいいが、問題は中身である。国会論戦でボロが出る前に総選挙を終えてしまいたいというのは、身勝手も甚だしい。
総裁選は、進次郎氏を軸に行われるのは確実だが、「最年少」など単なるイメージではなく、エネルギー政策や安全保障政策で日本をいかにかじ取りしていくかを示し、他の候補と議論を戦わせてほしい。「進次郎総裁」と決めつけるのは早すぎる。(産経新聞特別記者)
産経 サンケイ 新聞 ニュース 速報 政治 経済 社会 国際 スポーツ エンタメ
日本 最新ニュース, 日本 見出し
Similar News:他のニュース ソースから収集した、これに似たニュース記事を読むこともできます。
小泉劇場思い出せ「自民変わった」必要 総裁選は年功序列、当選数に固執するな 有元隆志 ニュース裏表橋本龍太郎首相の辞任表明に伴う1998年7月の自民党総裁選で、3候補にインタビューをしたことがある。地味な小渕恵三氏と、陸軍士官学校出の梶山静六氏、小泉純一…
続きを読む »
高市氏、地方講演会は大盛況も国会議員の支持が課題「メガネをかけたらご注意を」有元隆志 ニュース裏表自民党で「〝集客力〟のある政治家」の一人として高市早苗経済安保相がいる。全国各地での講演会には多くの人々が詰めかけ、演説を熱心に聞いている。高市氏の話に魅力が…
続きを読む »
「参謀役」がいない総裁選 ポスト岸田候補は官房長官を考えているか 有元隆志 ニュース裏表月刊『正論』で森喜朗元首相の連載「元老の世相を斬る」をしていたとき、森氏から2021年の自民党総裁選の際、岸田文雄首相があいさつに来たときの話を聞いた(21…
続きを読む »
「参謀役」がいない総裁選 ポスト岸田候補は官房長官を考えているか 有元隆志 ニュース裏表月刊『正論』で森喜朗元首相の連載「元老の世相を斬る」をしていたとき、森氏から2021年の自民党総裁選の際、岸田文雄首相があいさつに来たときの話を聞いた(21…
続きを読む »
小林鷹之氏が国会目指した理由 鳩山政権時代、日米関係崩れていく危機間近に 有元隆志 ニュース裏表小林鷹之前経済安保相は19日、自民党総裁選への出馬会見で、国会議員を目指した動機として、民主党の鳩山由紀夫政権時代に米ワシントンに駐在し、「国際社会の中で日本…
続きを読む »
小林鷹之氏が国会目指した理由 鳩山政権時代、日米関係崩れていく危機間近に 有元隆志 ニュース裏表小林鷹之前経済安保相は19日、自民党総裁選への出馬会見で、国会議員を目指した動機として、民主党の鳩山由紀夫政権時代に米ワシントンに駐在し、「国際社会の中で日本…
続きを読む »