【ロンドン、ブリュッセル時事】新たに誕生した英労働党政権には、貿易面での欧州連合(EU)との関係改善が課題として重くのしかかる。EUへの復帰はせず「離脱を生かす」(党選挙公約)ことを目指すが、同党が望む関係を結ぶには、何かしらの「代償」をEUから求められかねない。「再加盟は生涯あり得ない」と明言するスターマー新首相の手腕が問われる。
国民の多くが「失敗だった」と振り返るEU離脱は、英経済に大きな影を落とした。英コンサルティング企業によると、英経済は2023年、EUにいた場合よりも6%縮小し、1400億ポンド(約28兆7000億円)の損失が発生。35年には3110億ポンド以上が失われると試算する。
「より良い離脱協定を得られると信じている」。スターマー氏は選挙期間中、こう強調。労働党は、不必要な国境検問を無くすことなどを通じたEUとの貿易・投資関係改善を掲げる。弁護士や医師らが英EU双方で開業できるようにする専門資格の相互承認協定の導入も狙う。 ただ、米ブルームバーグ通信によると、関税同盟や単一市場に復帰しないとの公約を労働党が維持する限り、党が目指す関係改善は難しいとの声が、英政府関係者や党幹部から上がっている。保守党のスナク前首相は英BBC放送の討論番組に出演した際、「(貿易関係改善の代償に)移動の自由を受け入れることになる」と労働党を批判した。
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