谷真海「経験が宝物」家族と歩んだ8年に万感のゴール トライアスロン女子PTS5 東京パラリンピック第6日の29日、トライアスロン女子の運動機能障害PTS5で開会式の日本選手団旗手を務めた谷真海(サントリー)は1時間22分23秒で10位だった。
東京パラリンピック第6日の29日、トライアスロン女子の運動機能障害PTS5で開会式の日本選手団旗手を務めた谷真海(サントリー)は1時間22分23秒で10位だった。
ゴールが目前に迫り、サングラスを外したトライアスロン女子(運動機能障害PTS5)の谷は、笑顔だった。「この場に立てて、幸せな気持ちだった。感謝の気持ちを見せたかった」。自身の障害クラスであるPTS4が実施種目から外れ、コロナの逆風も吹いた夢舞台の最後は、万感の思いがこみ上げた。 障害が軽いクラスに混ざっての出場は得意のスイムで5位と健闘。バイクで8番手まで下げた。同じ障害クラスの米国選手に追い抜かれ、「これじゃだめ」と気力を振り絞る。ランでさらに順位を下げたが、自身の職場前を通るコースに「日本なので粘る力をもらった」と力走を続けた。今年に入り新たな試練を迎えた。海外勢の戦況をチェックするなど、競技面でも頼れる昭輝さんの胃に悪性リンパ腫が見つかった。早朝練習後、いつも野菜やフルーツの特製スムージーを用意してくれた夫に、今度は谷が「明るく通院できるように」とロードバイクを贈って勇気づけた。
昭輝さんは3月に約1カ月の放射線治療を終え、転移がないことを確認。家族3人で本番へもう一度、気持ちを高めた。開会式の旗手を務めた24日に選手村入り。部屋の窓から、対岸を自転車で通った家族に手を振り、絆を実感できた。 早大2年のときに右膝下を失い、パラリンピックと出合った。過去3度の走り幅跳びも、39歳で迎えた今回も表彰台は遠かった。「メダルには縁がなかったけど、ここまでの経験がそれ以上の宝物。充実感でいっぱいです」。限界に挑んだ歩みに胸を張った。(田中充)