英国のウィリアム皇太子の妻、キャサリン妃（４２）ががん治療を受けていると公表したというニュースは、娘をもつがんサバイバーの筆者にとって考えさせられるものがあ…
キャサリン妃が化学療法を開始したのは２月下旬で、公表は３月２２日である。ジョージ王子（１０）、シャーロット王女（８）、ルイ王子（５）に対し「私は大丈夫だと安心させるのに時間がかかった」と明かした。筆者がステージ４の小腸がんであることを医師から伝えられた平成２８年１２月。娘は１歳だった。３歳の頃から「パパはがんという病気なんだよ」と繰り返し話してきた。
早い段階で伝えたのは、がんに対し先入観のない乳幼児期から言っておけば、がんを怖がらずに、自然に受け止められるようになるのではないかと考えたからだ。物心がついた頃に知ることで、ショックを受けて情緒不安定になるのを避けたかった。母親ががんを告知されたのは、息子が中３のときだった。母親は「『手術をすれば大丈夫』とお医者さんは言っているから」と話し安心させようとしたが、息子は一時期、学校に行けなくなってしまった。話を戻すと、娘は今９歳。医療ソーシャルワーカー、大沢かおりさんの著書『がんになった親が子どもにしてあげられること』（ポプラ社）にこんなくだりがある。娘も例外ではなかったようだ。最近、こんなことを言ってきた。とっさに「坂井家はがんの家系ではないから、大丈夫」と返したが、娘は黙ってしまった。今にも泣き出しそうで、その目は明らかに動揺していた。「あなたのがんが子どもの心や日常に何かしらの影響を与えることは、避けようがありません。でも、それは悪いことばかりではない。親のがんという経験から、彼らは多くの学びを得て、たくましく育ち、人生を力強く歩んでいくことでしょう」
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