宇宙航空研究開発機構(JAXA)を31日付で退職する宇宙飛行士の若田光一さん(60)が29日、東京都内で記者会見した。2030年に国際宇宙ステーション(ISS)が運用を終えることを念頭に「民間によるポストISSの活動に尽力したい」と話した。若田さんは1992年に宇宙飛行士候補に選ばれ、96年に初の宇宙飛行を経験した。以来、日本の有人探査をけん引し、日本人初の任務を次々とこなした。これまでの活動
宇宙航空研究開発機構(JAXA)を31日付で退職する宇宙飛行士の若田光一さん(60)が29日、東京都内で記者会見した。2030年に国際宇宙ステーション(ISS)が運用を終えることを念頭に「民間によるポストISSの活動に尽力したい」と話した。
若田さんは1992年に宇宙飛行士候補に選ばれ、96年に初の宇宙飛行を経験した。以来、日本の有人探査をけん引し、日本人初の任務を次々とこなした。これまでの活動について、「候補に選抜された日が昨日のことのように、32年があっという間に過ぎ去った」と振り返った。 2009年にはISSの長期滞在、14年には宇宙飛行士で最高の栄誉となるISS船長を務めた。18〜20年には宇宙飛行士で初めて、JAXAの理事も担った。合計5回の宇宙飛行は日本人最多で、累計の宇宙滞在時間も最長の504日余りに及ぶ。1998年に建設が始まったISSは老朽化が進んできた。30年代以降、地球低軌道でのミッションは、民間企業が運営する設備が担う予定だ。より遠い宇宙空間への進出には、まず地球低軌道で活動のノウハウを積む必要がある。若田さんは民間への参画によって「有人宇宙活動に貢献する先駆者の一人として、仕事をしたいと思うにいたった」とJAXA退職の理由を説明した。
直近の有人宇宙探査では「日本人が月面に立つ日がすぐそこまで来ている」と述べた。米国は1960〜70年代の「アポロ計画」以来の月面有人探査「アルテミス計画」を推進し、これに参加する日本は米国に次ぐ2カ国目となる有人月面着陸の実現を目標に掲げている。