米下院外交委、TikTok禁止法案を採決方針 利用禁止広がる 米連邦通信委員会(FCC)は昨年11月、華為技術(ファーウェイ)など中国大手5社の通信機器の輸入、販売を禁止すると発表し中国の通信機器排除を強化している。
【ワシントン=坂本一之】米下院外交委員会は新たに、米国での中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の利用を禁止する法案を2月に採決する方針だ。背景には、TikTokからの情報漏洩(ろうえい)を警戒して連邦政府や州政府で利用を禁止する動きが急拡大している事情がある。法案成立にはハードルもあるが、下院は厳しい対中姿勢の共和党が多数派で、中国系IT企業への規制がさらに強まる可能性もある。
ロイター通信などによると、下院外交委員会で採決する方針の法案は、バイデン政権にTikTokの広範な利用禁止を実行する法的手段を与えることを目的としている。同委のマコール委員長(共和党)が主導しているという。 マコール氏はTikTokに関し「中国政府が情報を盗み取るバックドア(裏口)」になる可能性を指摘し、安全保障上の問題を示す。ただ、議会通過には民主党が多数派の上院でも可決が必要。米国で1億人以上とされる利用者からの反発が起きる可能性もある。 TikTokを巡っては、2022年12月に成立した法律で、連邦政府の公用端末でのアプリ利用が禁止された。州でも禁止措置を導入する動きが広がっていて、全米50州の半数以上が州の公用端末での利用を禁じている。
また同月には、TikTokを運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)の従業員が、米誌フォーブスと英紙フィナンシャル・タイムズの記者のデータに不正アクセスしていた事案が実際に報じられた。中国系IT企業のサービスや製品に対する警戒感は強い。