社員提案の「バズる」新事業 ANA社長で元ピーチ・アビエーションCEO 井上慎一氏<経済耳ぐすい> - 琉球新報デジタル
「ファーストムーバー」として、「新しさ」にこだわり、航空業界をけん引してきた全日本空輸(ANA)社長で元ピーチ・アビエーションCEOの井上慎一氏。8月31日に早稲田大学校友会沖縄県支部が開いた特別講演会で、井上社長のピーチやANAの経営戦略事例を交えた講演を紹介する。当初はヨーロッパで成功しているLCC(格安航空会社)のコピーを考えていた。しかし、これではだめだと思いながら、江の島の江ノ電を眺めていた時に、車掌が乗務や乗客案内などを1人でこなしているのを見た。飛行機も同じくマルチタスク化することで少人数でのオペレーションが可能になると気づき、コンセプトの「空飛ぶ電車」をひらめいた。搭乗券にはスーパーなどで使われるロールペーパーを使用している。さらに、行き先に応じた搭乗券への広告掲載を可能にしたことによって広告収入も生まれた。その他、広告予算なしで話題性を生むため、機内で車を販売したこともあった。
その後、ANAに戻ったのはコロナ真っただ中。20年の収入は19年の6分の1まで落ち、40年前の事業規模に縮小してしまった。経営危機に陥ったが、ANAは1952年に役職員28人、ヘリコプター2機から始まったことを思い出し、落ち込むことはなかった。 社員を対象とした新規事業の提案制度「がっちり広場」を20年にスタートした。予算をかけないことを前提に、「先進性がある」「バズる(広く話題が拡散される)」などを基準に審査したところ、3300の提案があった。そのうち24件を実現し、累計売上高は約9億円となった。売り上げよりも、社員の達成感につながったことに価値があった。航空機の墓場と呼ばれるアメリカのモハーヴェ空港(アメリカ)で使われなくなった航空機を見学する2泊4日のツアーには、1人54万8千円にもかかわらず、定員の約3倍の申し込みがあった。
エンジン整備部門で予算をかけずに制作した社内DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みが話題を呼び、DX研修として外販をするようになるという、思いがけない出来事もあった。知恵を出せばいろいろできる。諦めずに取り組み続けることが大事だ。
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