県の所有者不明農地の合計面積が、2021年度末時点で1万7258ヘクタールに上り、農地全体の36.4%を占めていることが、農林水産省の調査で分かった。県内の所有者不明農地の割合は高知県、鹿児島県に次ぎ、全国で...
県の所有者不明農地の合計面積が、2021年度末時点で1万7258ヘクタールに上り、農地全体の36.4%を占めていることが、農林水産省の調査で分かった。県内の所有者不明農地の割合は高知県、鹿児島県に次ぎ、全国で3番目に高い。土地所有者の死亡に伴う親族への相続がなされないことや、相続人が登記せず土地を放置していることなどで所有者不明農地が増加しているとみられる。
所有者不明農地は、登記されている所有者が死亡しているなどの要因で、所有者が分からない「相続未登記農地」と、所有者の所在地がたどれず、連絡が取れない「相続未登記の恐れがある農地」の二つに区分されている。農地が未登記の状態だと、無断借用が横行してトラブルに発展したり、借地契約ができず農地の活用が困難になったりするという。農林水産省が調査をするのは2度目。前回の16年度の調査では、県内で農地全体の27.8%に当たる1万3840ヘクタールが所有者不明農地だったが、5年後の21年度の調査では19.8%増の3418ヘクタールが新たに所有者不明農地となった。所有者不明農地のうち、現在、そして将来的に耕作の見込みがない遊休農地は、1226ヘクタールで、所有者不明農地の7.1%を占めている。
所有者不明農地などを有効活用するため、県農業振興公社の農地中間管理機構は、農地の集積・集約化に取り組んでいる。同社は農地中間管理事業を開始した14年から22年までの間で、966.1ヘクタールの農地を借り受け、農業の担い手に951.4ヘクタールの農地を貸し出している。座間味村の農業委員を務める西田吉之介さん(36)は「分割相続などでテニスコートほどの土地に約20人の地権者がいることもあり、それぞれに連絡が付かないなど農地の活用が難しい状況だ」とした上で、「農業を始めるまでに手間が掛かりすぎる。農作物に島の付加価値なども付けられるので、農地の有効活用が必要だ」と訴えた。