顔に単純性血管腫という“赤アザ”を持ち、1999年に、自身の苦悩とともに同じ疾患を持つ人の内面に迫った『顔面漂流記(現題:顔面バカ一代)』を刊行した石井政之さん。幼少期はアザがあることの苦しさを説明…
【石井】僕、昭和40年生まれで、今月59歳なんですけど、昔のメディアの状況に比べて、いわゆるマイノリティとされる人たちの生の声が記事になることは増えたと思うし、そういった人たちの情報が前よりもすごく手に入りやすくなったかなと思いますね。
ただ、YouTubeでもちょっと喋ったんですけど、やっぱりお行儀のいい話にまとまりがちな記事も多いなあと思います。人間が生きてるといろんなことが起きるので、まだまだ伝えきれてないことは多いんじゃないかとは感じますね。【石井】本を通して、アザのことを読者に知ってもらえて良かったと思います。僕よりも上の世代を見ていくと、名前と顔を出して情報発信する当事者はゼロなんです。同じようにアザがある人はいるのに、新聞記事にも出ていなかったですし。僕はその“声が上げられない現状”が、すごい嫌だなと思って自分で原稿を書いて。出版社に売り込みの電話をかけて、最終的に「おもしろい」と言ってくれた出版社から本を出せました。『顔面漂流記』を33歳の時に書いてから、いろんな取材を受けるようになりました。“自分を伝えられるのは、この一回だ”と、気持ちを込めて対応していたら、その話が記者さんの間で広まったのか、月に一回は何かしらの取材に対応する日々でした。【石井】喜んでくれました。「いい仕事している」と。ただ、「こんなに顔のことで注目されるとは思ってなかった」と親父もおふくろも言っていました。“執筆”という好きな仕事
世の中の本音と建て前に敏感な子でした。かといって、当時はアザのあることをしんどいとか苦しいとか説明する言葉を持っていなかったので、とにかくいろんな意味で他人の目にビクビクしていました。誰であっても、すぐに僕の顔を見て嫌っていくんだとか、哀れみの目を向けてくるんだとか、そんなことを思いながら生きていたので。どんどん過敏になっていました。【石井】中高生時代は「普通」っていう言葉がすごく嫌いでした。普通の人たちと同じようなことをやっていると、僕は馬鹿にされると思っていました。だからより勉強しようとか、努力しようという考え方で、自分の身を守っていました。僕は学校の勉強が向いていたタイプだったので、勉強のことでなめられることはなくなったし、中学校まではひ弱だったけれども、高校に入って柔道と空手をやったことで、選手としてはすごい弱くても、一般人と比べたら強くなるので、いじめてくる同級生もゼロになっていきました。そのときにようやく、努力は報われるんだなとすごく思いましたね。意外と簡単なんだな、と。【石井】それは思えなかったですね。特に思春期は、同世代の異性の中にはゴキブリを見るような目で見る人もいま
【石井】42歳で結婚して子どもを育てるために地方に移住して…全部ガラッと変わってしまいました。ライターや記者の仕事一本で食べていく、それも“マイノリティ”の人を取材するという縛りを置いていたのですが、家族のために稼がないといけないので、自分のポリシーをいったん脇に置いて、普通の生活をすることに徹しました。 自分でも面白いなと思うのは、子どもの運動会の時、当然運動場には子どもや父兄がたくさんいる。でも、僕が家族と歩いていると、みんな僕を避けて歩くから、歩きやすいんです(笑)。でも僕は、別にそれで僕の顔を見て差別されているとか、全然思わない。子どもたちが避けるほうが普通で、こんなもんだろうと客観的に見ている自分がいて。環境が変われば、気持ちも変わるんだと思いました。【石井】子どもは僕を「普通のパパだ」って言っていましたね。「パパはこれが普通なんだから」と。アザがあろうが障害があろうが、家族にとっては、“普通になる”のではないかと思いますね。「ユニークフェイス生活史」プロジェクトとして、ユニークフェイス当事者たちへの取材活動を行っている。自ら取材したり、原稿を寄稿してもらいながら、現在それらをまとめて1冊の本にすることを構想中。
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