6日発表された2023年の毎月勤労統計調査(速報)では、物価の変動を反映させた実質賃金が前年比2.5%減少した。2年連続で前年を下回り、下げ幅は9年ぶりの大きさに拡大。政府が目指す「物価上昇を上回る賃上げ」の実現には程遠い状況だ。物価高による賃金の目減りが家計を圧迫、23年の消費支出は3年ぶりに減少した。
厚生労働省によると、23年は基本給と残業代などを合わせた名目賃金が、労働者1人当たり月平均で32万9859円と1.2%増加。3年連続の上昇となったが、新型コロナ禍による賞与などの大幅な落ち込みからの反動増が見られた前年(2.0%増)から伸びは鈍化した。
一方で、実質賃金などの算出に用いる消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は前年比3.8%上昇。春闘で30年ぶりの高水準の賃上げを達成したものの、物価高騰に賃金上昇が追い付いておらず、生活実感に近い実質賃金の下落に歯止めがかかっていないのが実情だ。 物価高による賃金の目減りは、家庭の財布のひもを固くした。総務省が6日発表した23年の家計調査によると、1世帯(2人以上)当たりの消費支出は月額の平均で29万3997円。物価変動の影響を除いた実質では2.6%減少と3年ぶりのマイナスに落ち込んだ。節約志向の強まりなどを背景に、新型コロナ禍からの消費回復の流れにブレーキがかかった格好だ。 実質賃金のマイナスを解消し、消費に勢いを取り戻すためには、物価高の緩和とともに賃上げが高水準で継続し、中小企業に広がることが必要だ。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎氏は「実質賃金のマイナスは今年末ごろまで続くだろう」と指摘。その上で「24年春闘で、消費者のマインドを改善できるかが今後の日本経済を左右する」との認識を示した。
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