イスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザは、イスラエルによる報復攻撃で230万人の住民のほとんどが電気も水も手に入らない状況に置かれた。この狭い区域がイスラエルによる何百回もの空爆を受け、逃げ場を失った住民は絶望の淵に立たされている。
しかし、アラ・アル・カファルネさん(31)の一家は逃げ切れなかった。妊娠中の妻、父親、兄弟、いとこ、義理の両親とともに7日に町を脱出。海岸沿いの難民キャンプに車で向かったが、そこも空爆の標的となったため、さらに東のシェイクラドワンに移った。10日夜に一家が避難していた建物が空爆され、彼以外の全員が亡くなった。「危険から逃れようとして死に向かってしまった」と話すカファネルさんは頭部に切り傷を負い、腕にギプスをはめていた。
病院の外には毛布や段ボールで寝ている人もいれば、裸のまま地面に転がっている人もいる。病院内の少ないトイレを利用するために長蛇の列ができていた。国連によるとガザでは7日以来、17万5000人余りが自宅から避難した。別の病院で働く「国境なき医師団」のモハマド・アブ・ムガシーブ氏によると、医療物資は何年も前から不足している。イスラエルによる包囲が強化されて医療物資の在庫は急速に減っており、数週間で底をつく見通しだ。「この状態が数日続けば医療システムは崩壊する」と言う。 電気がないためガザ地区では給水がほぼ止まっている。ガザの保健当局は、発電機に頼っている病院などの医療施設は数日以内に停電状態に陥る見通しだと明かした。汚水処理施設も止まり、地区全体で廃棄物が増え、病気が蔓延する恐れがあると憂慮する。夜が明けると新たな破壊の傷跡が浮かび上がる。幾つかの地区は空爆で丸ごと破壊された。空爆で道路が寸断され、民間の防衛隊は空爆現場にたどり着けないことが多く、地元の住民は自分たちで瓦礫を運び出さなければならない。ザイトゥーンでは男性2人が携帯電話の明かりを頼りに破壊された集合住宅を捜索し、生存者を救出して遺体を運び出していた。ガザシティーの学校では爆音におびえる子どもたちや親が眠らずにいた。多くの人々がコンクリートの建物を焼くような空爆でがれきに埋もれてしまうことを恐れ、屋外に座り込んでいた。
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