《母子が離れ離れに暮らしていたころ、母が病気で入院。病室で聴いた西条凡児(さいじょうぼんじ)(※タレント、漫才師、1914~93年、『素人(しろうと)名人会…
《母子が離れ離れに暮らしていたころ、母が病気で入院。病室で聴いた西条凡児(さいじょうぼんじ)(※タレント、漫才師、1914~93年、『素人(しろうと)名人会』の司会などを担当、辛口トークで人気を呼ぶ)のラジオ番組に魅了される》(花菱(はなびし))アチャコさんが「雰囲気」、(藤山(ふじやま))寛美(かんび)さんが「間」やったら、凡児さんは「センス」ですか。(芸人になった)僕が「笑い」の参考にさせてもらったのがこのお三方でした。後の話になりますけど、司会をされていた『素人名人会』には僕も(アマチュア時代に)出演して、よく漫談をやらせてもらいました。(母の再婚に)僕は納得がいかなかったですねぇ。「河村」の姓は父親の姓だから変えたくない。小学生の僕からみたら再婚相手の男は頭が薄くなっていて、(母よりも)随分、年上に見えました(※実際はそれほど年の差はなかった)。
まぁ、僕を預かってくれている親類に、いつまでも面倒をかけられない、ということだったのでしょう。何度か親類の会議が開かれたようです。結局、「河村」の姓は変えないという条件で母の再婚が決まり、僕と母は、再婚相手が持っていた弁天町のアパートに移ります。 ただし、その再婚相手は3年くらい(※文枝さんが中学3年生のとき)で病気で亡くなってしまう。ごく最近になって、そっちの遠縁の方が訪ねてきて、初めてお墓にも行きましたが、おカネ持ちだったのでしょう。立派なお墓でしたなぁ。やったことがないソロバンや簿記がイヤというか、授業についていけません。中学までは国語や英語が得意で成績も上の方だったのですけど、高校に入ってから成績も急降下…。彼はすごいイケメンで、むちゃくちゃ面白い人でした。お父さんは中央市場で魚の仲買をしてて、よく家にも遊びに行きました。その岩佐くんが「漫才やらへんか? 番組、出たら、カネもうけもできるでぇ」と誘ってくれたのです。
演劇部ではもう一人、運命的な出会いがありました。1年先輩の「直井(なおい)さん」。ルーキー新一さん(※コメディアン、昭和10年生まれ)の弟で、別の先輩と組んで当時のラジオ『漫才教室』(※大阪・朝日放送ラジオで32~36年放送)など素人出演番組に出ていたのです。直井さんは高校を卒業後、一般企業に就職しましたが、プロの漫才師となって、横山やすしさん(※コンビ名はやすし・たかし)と組み、さらに「レツゴー三匹」の正児(しょうじ)さんとして人気を得ることになります。 岩佐くんに誘われた僕は、授業をネタにした漫才を書いてみた。当時、大人気やった「ダイラケ」(※中田ダイマル、ラケットの兄弟コンビ)の漫才などをラジオでよく聴いていたし、子供のころ芝居小屋で見た演劇も参考になりましたねぇ。
産経 サンケイ 新聞 ニュース 速報 政治 経済 社会 国際 スポーツ エンタメ
日本 最新ニュース, 日本 見出し
Similar News:他のニュース ソースから収集した、これに似たニュース記事を読むこともできます。
傘寿迎えてまだまだこれから 創作ネタは320超「500目指そうかな」 話の肖像画 落語家・桂文枝<1>《大阪生まれのおじん記者(還暦過ぎ!)にとってこのヒトは少年時代のアイドルだった。とにかくテレビやラジオで顔や声を見ない(聞かない)日はない。スマートでカッ…
続きを読む »
落語家1000人 半分女性なら「面白い」 グループLINEの師弟関係「昔と違うかな」 話の肖像画 落語家・桂文枝<2>《昭和41(1966)年に三代目桂小文枝(こぶんし)(後に五代目文枝)に入門したとき、上方(かみがた)落語協会の落語家の数は、20人ほどしかいなかった。今や…
続きを読む »
自身創作のネタが語り継がれる〝古典〟に 話の肖像画 落語家・桂文枝<3>《上方(かみがた)の落語家のうち、〝本業〟で全国的な人気を誇り、独演会でいっぱいのお客さんを集めたのは、古くは桂米朝(べいちょう)、その弟子で〝爆笑落語〟で…
続きを読む »
母1人子1人の少年時代 大叔父の家を出て親類宅を転々とする日々 話の肖像画 落語家・桂文枝<4>《昭和18(1943)年7月16日、堺市で生まれた。銀行員だった父(河村清三(かわむらせいぞう)さん)の顔は知らない。生後約11カ月のときに戦病死したからだ》
続きを読む »
水が引くまで病院に1週間、いかだから川に転落も 話の肖像画 落語家・桂文枝<5>《堺の大叔父宅から母と移ったのは大阪市大正区の製材所の一角にある3畳一間だった》
続きを読む »
住み込みで働く母と離れ離れの寂しさ 2人の伯父に影響を受けながら 話の肖像画 落語家・桂文枝<6>《母子は〝おっちゃん(母の長兄、文枝さんには伯父)〟の家に移った。間もなく母は、料理旅館に住み込みで働くことになり、母子は離れ離れの生活となって、寂しさが募…
続きを読む »