椎名誠の街談巷語 「名刺の肩書」弁護士、医師…ぼくが一番なりたい肩書き どこにいったら「資産家」になれるのだろうか

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椎名誠の街談巷語 「名刺の肩書」弁護士、医師…ぼくが一番なりたい肩書き どこにいったら「資産家」になれるのだろうか
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新しい名刺ができてきた。ある人に紹介されいまどき珍しい活版印刷だ。ぼくの場合、必要な文字はたかが知れているのでごくわずかな文字が紙が凹むくらいくっきり強く押し込...

新しい名刺ができてきた。ある人に紹介されいまどき珍しい活版印刷だ。ぼくの場合、必要な文字はたかが知れているのでごくわずかな文字が紙が凹むくらいくっきり強く押し込まれている。わが名前と事務所の所在地、連絡先、ぐらいの文字しかないから印象が強くなりすぎている気配だ。当然ながら肩書というのはない。ちょっと右翼の人みたい。肩書をつけるとしたらなんだろう。

やっぱり「作家」となるのだろうか。エラソーだなあ。正式な職業を、となると「著述業」となるのだろうか。なんだか区役所の出張所あたりに所属させてもらいたくなる。ぼくはむかし業界紙を出している零細会社の安サラリーマンだった。井のなかの蛙とよくいうが、ぼくの会社の上役の名刺を見るとみんな肩書が複雑になっていて「わが社にこんなセクションがあったかなあ」などとあたりを見回したくなった。会社が銀座通りに面したビルに入っていたので住所だけとりわけ大きい活字を使っている人もいた。昭和のチビ会社にはそれぞれ自分の名刺を自分で作ったりしている例がけっこう多かったようだ。 その頃、出会った会社でよく見かけたのはたとえば部長をめぐるいろんな役職の解釈だった。副部長、部次長、部長補佐、部長心得、などの四人が並んだ場合、どの肩書の人から挨拶していっていいのか。会社によってそれらの「解釈」が違っていると正解はなかなか難しい。「やあ、おれは舞踏家だあ。なんか仕事あるか?」などと言って挨拶し、軽く踊って見せるのもアリなはずだった。そういうのを自己申告職業とでもいうのだろうか。建築家などは国家試験を通っていないと名のるのが難しそうだ。弁護士、医師、なども職業としてはけわしい高所にある。それと比べると自己申告である「家」の地位は自分で築くもの、という側面があり「国家試験」よりもこの「世間試験」のほうが難しそうだ。落語家と言わず噺家と言われるほうが味があり、もうじき名人の呼称を得そうだ。篤志家になるのはむずかしいだろう。政治家になるのも選挙の関門を乗り越えていかなければならないが、作家と同じように自分で名のるだけでもいいらしい。ぼくが一番なりたいのは「資産家」だ。どこの訓練所をでたらこれになれるのだろうか。

■椎名誠(しいな・まこと) 1944年東京都生まれ。作家。著書多数。最新刊は、『おなかがすいたハラペコだ。④月夜にはねるフライパン』(新日本出版社)、『失踪願望。』(集英社)、『出てこい海のオバケたち』(新日本出版社)、『シルクロード・楼蘭探検隊』(産業編集センター)。公式インターネットミュージアム「椎名誠 旅する文学館」はhttps://www.shiina―tabi―bungakukan.com

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