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「かっけ」と読む。高齢者なら、あの膝にハンマーを当ててピーンと跳ねる膝蓋腱反射の無い病気、といえばわかるだろうか。原因はビタミンB1(VB1)不足からくる神経の障害で、進行するとさまざまな臓器がダメージを受ける。
脚気が流行り始めたのは江戸時代。ビタミン・ミネラルを含む麦や雑穀よりも、VB1を含む胚芽を除いてほぼ炭水化物のみしか残らない白米を食べるようになった江戸・大坂の都市部から広がり、「江戸わずらい」などと呼ばれた。VB1が発見されたのは大正時代なので、当時は原因が分からず、明治になっても事情は変わらなかった。富国強兵政策で軍隊では庶民より食事内容を優遇した。「銀シャリ」という言葉が示すように、贅沢な白米が支給された。殖産興業による製糸業が盛んになり、農家では蚕の餌となる桑畑が増え、VB1の補給源だった雑穀畑が減少し、庶民にも白米を食べる習慣が広がった。
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