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手袋とともに、縦横無尽にグラウンドを駆け巡った。時代の先駆者だった柴田さんが振り返る「喜怒哀楽」とは―。(取材・構成=湯浅 佳典、太田 倫)
甲子園で夏春連覇して、巨人のエースになるつもりだった。でも、肩が痛くてね。1年目、たった6試合で失格の烙印(らくいん)を押された。川上哲治監督に「いいかげん、投手はあきらめろ」なんて言われて。ただ、巨人のレギュラーになれたのは、スイッチヒッターに転向したおかげだった。監督も知らない選手になれっていうんだから、いいかげんなもんだよ! モーリーは、ドジャースにいた両打ちで快足の内野手だった【注1】。米国の視察に行ったヘッドコーチの牧野茂さんが、ノーヒットでも1点を取れる、モーリーのような選手が巨人にも欲しいと進言したらしい。 僕の足が速いと知られたのは、入団直後の宮崎キャンプ。ある日、雨で練習を切り上げることになった。川上さんがファンサービスのため、長嶋さんとオレを100メートル競走させることを思いついた。球場の隣の陸上競技場で、運動靴の僕がスパイクの長嶋さんに勝った。それで白羽の矢が立ったわけだな。
喜怒哀楽をほとんど見せない川上さんを一番喜ばせたと自負できる試合がある。1969年7月3日、甲子園での阪神戦。3番・長嶋、4番・柴田、5番・王。江夏豊を苦手としたONの気分転換を図ったオーダーがハマった。初回に高田繁がソロ、そして僕が2ランを打って4―1で勝った。 全盛期のONを差し置いて4番なんて、僕だけですよ。失敗したら、監督は何を言われるか分からない。大バクチが当たったわけだ。バスに乗り込んだら、川上さんが満面の笑みで「柴田、よくやった!」って握手してきた。監督のあんな笑顔、最初で最後かもしれない。【注1】(しばた・いさお)1944年2月8日、横浜市生まれ。80歳。法政二時代、エース兼主力打者として60年夏、61年春の甲子園で連続優勝し、62年に巨人入り。この年6試合で0勝2敗に終わり、翌年から外野手に転向。俊足の1番打者として盗塁王を6度獲得。通算2208試合に出場。2018安打、708打点、194本塁打。打率・267。通算盗塁数579個は現在もセ・リーグ記録。
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