東京大学資料編纂所・本郷和人先生が分析する武田勝頼「最大の失敗」とはーー(写真提供:PhotoAC)2024年上半期(1月~6月)に『婦人公論.jp』で大きな反響を得た記事か…|BIGLOBEニュース
この城はもともと徳川が支配する城でしたが、後に武田のものとなりました。そして武田が「長篠の戦い」で大敗を喫した後、徳川家康が攻勢に出て、周辺の城が次々と落とされていくわけですが、勝頼はこの城をなかなか放棄しなかった。境目、国境の城。 たとえば高天神城までが武田領、付近の別の城までは徳川領という状況であれば、城の奪い合いが、そのまま領地の拡大に直結することになる。しかも、攻めにくく守りやすい山城であっても、一度落としてしまえば攻守を変え、その城で防衛することができる。先に述べたように高天神城はもともと徳川の城で、武田との国境にある、まさに「境目の城」でした。現在の静岡県掛川市にあたります。ビギナーズラックだったのかもしれませんが、あの戦の神様である信玄公でも落とせなかった城を、勝頼が落とした。「勝頼様は、信玄公以上の戦上手なのかもしれない」。そうした話になるわけです。名将・岡部元信が守るも彼はもともと今川に仕えていて桶狭間にも出陣し、本陣と離れ、別働隊として戦果を上げていました。そこに"義元戦死"という知らせが入ったのですが、岡部は慌てて逃げ帰るわけではなく、粛々と軍を引く。そして織田方と交渉して、見事に義元の首を取り戻して国へ帰ったという経歴を持つ、沈着冷静な名将です。岡部は一所懸命、城を守り抜きます。一方の徳川軍は、しぶとい高天神城を置き捨てて、周辺の城を落としていく。気がつけば、徳川勢の真ん中に高天神城が孤立し、ぽつんと取り残されてしまうことに。何度もいいますが、城を確保すること自体に意味はありません。"境目の城"という意義を失った以上、勝頼も「早々に城を放棄して戻ってこい」と言うべきでした。それなのに、ぐずぐずしてしまったのはなぜか。いわゆる「詰んだ」状況に追い込まれた勝頼本来、そこでは降伏を受け入れるのが普通なのです。それによって困難な攻城戦をやらなくて済む。お互い無用な犠牲を出すことなく、たとえば城主を切腹させる条件で城兵の命は助けるなどして、降伏を受け入れればいい。しかし信長は、あえてその道を断った。ひとつの選択肢としては、高天神城を救援することです。自分の味方の城が攻められたときに救いに行くことを「後詰め」と言いますが、それを行う。そしてもうひとつの選択肢が、城を見捨てるということでした。 一般論として、リーダーたる勝頼は後詰めを行わなければならない。もし見捨ててしまえば、それぞれの土地を守っている武田領の武士たちが「勝頼殿は、いざとなったときに見捨てるお方じゃ」となり、それまで従属していた武士たちが雪崩を打って離れていくことになりかねないからです。 それを避けたければ、後詰めをするしかない。ところが実際に後詰めのために援軍を出せば、それを織田が待ち構えていることも目に見えている。武田が本隊を出してくれば、織田は当然それを叩きにくる。武田は既に「長篠の戦い」で織田に大敗しているわけで、また戦って勝ち目があるかと言えば、それもない。今回また負ければ、もはや滅亡まっしぐらです。結局、勝頼は「後詰めはしない」という選択をとりました。とてもできる状況ではないし、やれば確実に滅ぶ。ということで、見捨てられた高天神城は落ち、城主の岡部以下、城兵たちはほとんど戦死してしまいました。それで実際に「武田はもうだめだ」ということになった。悲しいことに 武田勝 頼は、それまでの躑躅ヶ崎城に代わり、新しく新府城という大きな城を築いていました。大きい城は、それなりの数の城兵がいないとむしろ「ここから攻められます」というスキを作るだけ。機能しない。※本稿は『「失敗」の日本史』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。.
この城はもともと徳川が支配する城でしたが、後に武田のものとなりました。そして武田が「長篠の戦い」で大敗を喫した後、徳川家康が攻勢に出て、周辺の城が次々と落とされていくわけですが、勝頼はこの城をなかなか放棄しなかった。境目、国境の城。 たとえば高天神城までが武田領、付近の別の城までは徳川領という状況であれば、城の奪い合いが、そのまま領地の拡大に直結することになる。しかも、攻めにくく守りやすい山城であっても、一度落としてしまえば攻守を変え、その城で防衛することができる。先に述べたように高天神城はもともと徳川の城で、武田との国境にある、まさに「境目の城」でした。現在の静岡県掛川市にあたります。ビギナーズラックだったのかもしれませんが、あの戦の神様である信玄公でも落とせなかった城を、勝頼が落とした。「勝頼様は、信玄公以上の戦上手なのかもしれない」。そうした話になるわけです。名将・岡部元信が守るも彼はもともと今川に仕えていて桶狭間にも出陣し、本陣と離れ、別働隊として戦果を上げていました。そこに"義元戦死"という知らせが入ったのですが、岡部は慌てて逃げ帰るわけではなく、粛々と軍を引く。そして織田方と交渉して、見事に義元の首を取り戻して国へ帰ったという経歴を持つ、沈着冷静な名将です。岡部は一所懸命、城を守り抜きます。一方の徳川軍は、しぶとい高天神城を置き捨てて、周辺の城を落としていく。気がつけば、徳川勢の真ん中に高天神城が孤立し、ぽつんと取り残されてしまうことに。何度もいいますが、城を確保すること自体に意味はありません。"境目の城"という意義を失った以上、勝頼も「早々に城を放棄して戻ってこい」と言うべきでした。それなのに、ぐずぐずしてしまったのはなぜか。いわゆる「詰んだ」状況に追い込まれた勝頼本来、そこでは降伏を受け入れるのが普通なのです。それによって困難な攻城戦をやらなくて済む。お互い無用な犠牲を出すことなく、たとえば城主を切腹させる条件で城兵の命は助けるなどして、降伏を受け入れればいい。しかし信長は、あえてその道を断った。ひとつの選択肢としては、高天神城を救援することです。自分の味方の城が攻められたときに救いに行くことを「後詰め」と言いますが、それを行う。そしてもうひとつの選択肢が、城を見捨てるということでした。 一般論として、リーダーたる勝頼は後詰めを行わなければならない。もし見捨ててしまえば、それぞれの土地を守っている武田領の武士たちが「勝頼殿は、いざとなったときに見捨てるお方じゃ」となり、それまで従属していた武士たちが雪崩を打って離れていくことになりかねないからです。 それを避けたければ、後詰めをするしかない。ところが実際に後詰めのために援軍を出せば、それを織田が待ち構えていることも目に見えている。武田が本隊を出してくれば、織田は当然それを叩きにくる。武田は既に「長篠の戦い」で織田に大敗しているわけで、また戦って勝ち目があるかと言えば、それもない。今回また負ければ、もはや滅亡まっしぐらです。結局、勝頼は「後詰めはしない」という選択をとりました。とてもできる状況ではないし、やれば確実に滅ぶ。ということで、見捨てられた高天神城は落ち、城主の岡部以下、城兵たちはほとんど戦死してしまいました。それで実際に「武田はもうだめだ」ということになった。悲しいことに武田勝頼は、それまでの躑躅ヶ崎城に代わり、新しく新府城という大きな城を築いていました。大きい城は、それなりの数の城兵がいないとむしろ「ここから攻められます」というスキを作るだけ。機能しない。※本稿は『「失敗」の日本史』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。
生活情報 武田勝 失敗 天神 こだわり 救援 ニュース 速報 記事
日本 最新ニュース, 日本 見出し
Similar News:他のニュース ソースから収集した、これに似たニュース記事を読むこともできます。
「地元における圧倒的な信頼感」を追い風にできるか…地方銀行が続々「婚活支援」に乗り出す切実な理由(2025年5月9日)|BIGLOBEニュース婚活支援事業に乗り出す地方銀行が増えている。何が起きているのか。金融アナリストの高橋克英さんは「背景には地元における人口減少と少子高齢化、取引先企業の後継者問題がある」という…|BIGLOBEニュース
続きを読む »
知らないうちに「脳のゴミ」が溜まっている…毎日2杯飲むと"認知症リスクが3割下がる"スーパーで買える飲み物(2025年5月27日)|BIGLOBEニュース老後を健康に過ごすには、どうすればいいのか。医師の鎌田實さんは「認知症は突然発症する病気ではない。発症リスクを下げるために、おすすめの飲み物やストレッチ方法がある」という――…|BIGLOBEニュース
続きを読む »
茨城メロンの美味しさで、人と人をつなぐ。『常総メロンフェス 2025』6月1日(日)~6月30日(月)開催~生産量日本一を誇る茨城県産メロンの魅力を、常総からお届け~茨城・常総の魅力を発信する食のテーマパーク「道の駅常総」(所在:茨城県常総市、運営:株式会社COLLECT、以下:当施設)では、2025年6月1日(日)から6月30日(月)までの1か月間、『Joso ...
続きを読む »
“お米高騰の時代に” ご飯おかわり自由でお腹いっぱい!からあげ食堂 ごいち ぷらす、2025年6月1日(日)11時にグランドオープン – サウナ飯+天ぷら専門店監修メニューも登場【愛媛県・今治市】“お米高騰の時代に” ご飯おかわり自由でお腹いっぱい!からあげ食堂 ごいち ぷらす、2025年6月1日(日)11時にグランドオープン – サウナ飯+天ぷら専門店監修メニューも登場【愛媛県・今治市】 キスケ株式会社のプレスリリース
続きを読む »
兵庫・湯村温泉「湧泉の宿ゆあむ」でドラフト日本酒サーバーから注ぐ但馬の地酒「竹泉」3種飲み比べ付プラン期間限定で再販売【2025年6月1日~6月30日の日~金曜日限定】兵庫・湯村温泉「湧泉の宿ゆあむ」でドラフト日本酒サーバーから注ぐ但馬の地酒「竹泉」3種飲み比べ付プラン期間限定で再販売【2025年6月1日~6月30日の日~金曜日限定】 アイアンドエフ・ビルディング株式会社のプレスリリース
続きを読む »
【F1第9戦予選の要点】最大の好敵手ノリスに0.2秒の大差。予選の名手に成長したピアストリ(2025年6月1日)|BIGLOBEニュース2025年シーズン9戦目を迎えたF1スペインGPでも依然としてマクラーレンの優位は明らかで、ポールポジション争いはランド・ノリスとオスカー・ピアストリのふたりに絞られた。予選…|BIGLOBEニュース
続きを読む »
