７月７日付で宝塚歌劇を退団する月組トップスター・月城（つきしろ）かなとがこのほど、相手役・海乃美月（うみの・みつき）と本拠地・宝塚大劇場（兵庫）でサヨナラ公演千秋楽を迎えた。
２００９年入団から１６年目。２１年８月のトップ就任から３年弱での卒業。サヨナラショーは海乃との「一緒にやってきた海乃との、一番思い出深い瞬間」というデュエット曲（２３年「ＤＥＡＴＨ ＴＡＫＥＳ Ａ ＨＯＬＩＤＡＹ」から）で、しっとりと締めくくった。
退団セレモニーは緑のはかまではなく、シンプルな黒えん尾服で臨んだ。昨年に亡くなった振付師・羽山紀代美さんへのオマージュがあった。「先生は常々、『黒えん尾は飾りなし。一番、男役がステキに見える』と。それを体現したかった」。頂点に立った誇りに加え、様々な思いも去来して下りた大階段。「少し泣きそうになった時もあったんですが、涙はこらえて」感謝のスピーチに努めた。 次の月組本拠地公演は、３期先輩の鳳月杏（ほうづき・あん）が、天紫珠李（あまし・じゅり）との新トップコンビで中心に立つ。また、同期の花組トップ・柚香光（ゆずか・れい＝２６日退団）の後任は、１７年の雪組在籍時まで苦楽を共にしてきた２期後輩・永久輝（とわき）せあが就任する。
後を託す思いは「私が偉そうに何か伝えることは特にない」と前置きしながら「『宝塚歌劇の殿堂』に行かせていただく機会があり、本当にたくさんの方々がタカラヅカを作ってこられ、それがつながって現在があるのかな、と。辞める今、その一員に自分がいることが誇らしく、うれしく思ったので、同じように幸せに過ごしてほしいな」と、えくぼをのぞかせた。〇…海乃は「ＴＨＥ ＬＡＳＴ ＰＡＲＴＹ」（１８年）で、月城と初コンビを組んだことで「お芝居の概念が変わったターニングポイント」を迎え、２１年、トップ娘役では“遅咲き”の入団１１年目で月城の相手役に選ばれた。最後も添い遂げて一緒に卒業する。「命の限り続く道を進んだ先に、何かがある。その何かを知りたくて、走り続けた宝塚人生。待っていたのはこんなに温かくて幸せにあふれる空間でした」と、配属（１２年）以来、月組一筋だった歳月でめぐり会った人々に感謝した。
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