時価総額最大のApple まだ高成長株と言える?
エルさんは「"強気寄り"の中立」だと話す。判定のポイントは現在の株価水準。「足元の予想PER(株価収益率)は20倍台と、ここ数年では低めの水準。割安ではないが、買いやすくなった」と判定理由を説明する。たぱぞうさんも「株価水準が切り下がったことはプラス材料」と話す。
2022年10〜12月期決算は売上高が前年同期比5%減、純利益が同13%減と厳しい結果となった。ドル高が収益の押し下げ要因となり、中国での新型コロナウイルス感染拡大がiPhoneの供給に響いたためだ。しかし、株価は底堅い様相だ。今年2月初旬には150ドルの水準を回復した。同社はパソコンやスマートフォンといった端末を販売し、音楽配信サービス「アップルミュージック」や非接触型決済サービス「アップルペイ」など、それに関連するサービスを広げることで業容を拡大してきた。「ただ、そうした"アップル経済圏"も成熟してきた」とたぱぞうさん。「他社サービスに乗り換える金銭的・心理的負担、いわゆるスイッチングコストが高いことで既存顧客を囲う力がある点は有望であるが、大きな業績拡大は望みづらい」と続ける。
しかし、「一定程度の成長余地はある」とたぱぞうさん。注目するのは、教育分野への進出だ。日本でも文部科学省による「GIGAスクール構想」などのデジタル教育が推し進められているように、同社製品の教育分野での活用が広がることを見据える。「売上高や営業利益の伸びは10%に届かずとも、緩やかに成長を続けるとイメージしている」(たぱぞうさん) エルさんは、同社の安定的に稼ぐ力を評価する。アップルの売上高営業利益率は18年9月期から22年9月期の間で約23.8〜30.3%の高水準を維持する。ブランド力の高さを武器に強気の価格設定をして、高い利益率を実現している。「同社の製品はいわば"高級品"で、新興国の経済成長に伴って、中長期でマーケットの拡大が期待できる」(エルさん)