日産とルノー、「不平等条約」解消へ 対等資本関係 日産は自動運転や全固体電池、ハイブリッド車(HV)の技術などが新会社の参画企業に流出することを懸念していたが、今年に入り、ルノーが共同保有する知的財産を保護する譲歩案を提示し交渉が前進した。
日産自動車と仏自動車大手のルノーは30日、両社の資本関係を対等にすることで合意したと共同声明を発表した。ルノーは日産が経営危機に陥った1999年に出資し、現在は約43%の株式を握る。日産はルノー株を15%保有するが議決権がなく、資本関係の見直しを求めていた。今後、両社の取締役会の承認を経て、正式合意する。2月6日に英ロンドンで、連合を組む三菱自動車を含めた新たな提携関係について公表する予定だ。
日産の内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)とルノーのルカ・デメオCEOは今月26日にオンラインで会談した。資本関係の見直しやルノーが設立する電気自動車(EV)新会社への日産の出資について詰めの協議を行っていた。 声明によると、ルノーは日産株28・4%を信託に移して段階的に売却する。日産株の比率を15%まで引き下げ、日産と対等な関係とする方針。一方、日産はEV新会社に最大15%出資する方向で調整している。三菱自を含めた新たな提携関係を推進するため、インドや中南米などでも日仏連合で新事業を展開する計画。ルノーは昨年11月にEV新会社「アンペア(仮)」とエンジン車の新会社「ホース(仮)」を設立する計画を公表した。EV新会社には米半導体大手クアルコムが出資し、米IT大手グーグルも参画。エンジン車新会社には中国自動車大手の浙江吉利控股集団が出資すると発表した。ルノーとの資本関係について、日産社内では売上高や販売台数がルノーを上回っているにもかかわらず、議決権がないため不満の声が多かった。資本関係の見直しで、20年以上続いた「不平等条約」がようやく解消する。
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