夏の甲子園の余韻が残っている。107年ぶりの日本一に輝いた慶応(神奈川)の「野球を楽しむ心」や、準優勝に終わった昨年の覇者、仙台育英(宮城)の「グッドルーザ…
夏の甲子園の余韻が残っている。107年ぶりの日本一に輝いた慶応(神奈川)の「野球を楽しむ心」や、準優勝に終わった昨年の覇者、仙台育英(宮城)の「グッドルーザー」ぶりは、新しい時代の高校野球を感じさせた。過去を含めて、選手たちを最高の舞台に導いたのは、監督らの熱い指導と言葉の力だ。高校野球史に残る名将たちの語録を振り返った。
豪打の「山びこ打線」で一時代を築いた池田(徳島)の蔦文也氏は伝説の監督だ。1974年春には部員11人だけで準優勝し、「さわやかイレブン」旋風を巻き起こした。40年近く指導し、春夏通算14回出場、優勝3回の成績を残した。教え子には、畠山準氏(南海、横浜)、水野雄仁氏(巨人)らがいる。次のような言葉を残している。 「叱ることより、ほめること。だれでも失敗はあるもんやし、怒っても始まらん」「人生は敗者復活戦ぞ」「負けることは不名誉ではない。不名誉なことは、負けることによって人間がダメになってしまうこと」「野球に近道なし、人生に近道なし」取手二(茨城)や常総学院(同)を指揮した監督、木内幸男氏は厳しさの中に優しさを見せ、「反管理野球」と言われた。甲子園通算40勝、意表を突く采配は「木内マジック」と呼ばれた。教え子には、安藤統男氏(阪神)、仁志敏久氏(巨人、横浜)らがいる。こんな言葉がある。横浜(神奈川)を春夏通算5度の全国優勝へ導いた名将、渡辺元智(もとのり)氏。教え子には、松坂大輔氏(西武、ボストン・レッドソックスなど)や、筒香嘉智(横浜、ロサンゼルス・ドジャースなど)らがいる。こんな言葉を残している。
「強いチームが勝つのではなく、勝ったチームが強い」「野球で挫折を経験したとしても、その後の人生に生かせれば決して無駄ではない。栄光より挫折。成功よりも失敗、勝利よりも敗北から得られることの方が大きい」「人生の勝利者たれ」