【コラム：首藤正徳のスポーツ百景】 後輩のため一役 準Ｖ明豊後押し昨年度３年生の思い 高校野球 kokoyakyu センバツ 選抜高校野球 甲子園 明豊 明豊高校
◆首藤正徳（しゅとう・まさのり） 88年入社。バトル、五輪、テニス、サッカーなどを担当。五輪は92年アルベールビル冬季大会、96年アトランタ大会を現地取材。08年北京大会、12年ロンドン大会は統括デスク。サッカーは現場キャップとして98年Ｗ杯フランス大会、02年同日韓大会を取材。現在は東京五輪・パラリンピック準備委員。東京都民になって40年近く経つが、甲子園の高校野球はずっと故郷の大分県の高校を応援している。今年の選抜は明豊が出場した。プロ注目の選手はいない。新チーム結成時に川崎監督が「近年最弱」と酷評したと報じられていたので、さほど期待はしていなかったが、優勝候補の市和歌山、智弁学園、中京大中京を連破して、決勝まで勝ち上がったから驚いた。
先輩たちの思いとサポートが、今年の急成長を後押ししたのだろう。何しろ昨秋の九州大会から甲子園の決勝まで8試合無失策。それは圧倒的な練習量と、そこで培った高い集中力の証しだ。一方で私はむしろ昨年度の3年生の人間としての成長に驚く。誰も経験したことのない失意と試練を乗り越えて、後輩たちのために一役買う。彼らは不条理にも屈しない強い心を、野球を通して育んでいたのだと思う。
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