財務省が10日発表した令和5年度の国際収支速報で、日本の「デジタル赤字」が常態化している構図が浮き彫りとなった。米グーグルや米アマゾン・コムなど海外の巨大IT…
財務省が10日発表した令和5年度の国際収支速報で、日本の「デジタル赤字」が常態化している構図が浮き彫りとなった。米グーグルや米アマゾン・コムなど海外の巨大ITのサービスへの依存度が高く、これらの企業へのドル建ての支払いが膨らんでいるためだ。日米金利差の開きと並び、歴史的な円安をもたらす大きな要因となっている。この訪日客からの稼ぎを打ち消したのが、デジタル赤字だ。デジタル関連の取引はサービス収支の複数の項目に含まれるが、このうち「その他業務サービス」は4兆6828億円、「通信・コンピュータ・情報サービス」は1兆7528億円の赤字をそれぞれ計上し、その多くを米国との取引が占めた。
業務効率化や省エネへの対応のため、多くの企業が、データの管理や処理を外部コンピューターに委ねるクラウドサービスを導入している。個人も娯楽で動画配信サービスを楽しんだり、買い物でスマートフォンの決済システムを利用する場面が増えている。三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは「サービス収支の中で、デジタル赤字の円売り要因と訪日客の増加による円買い要因が引っ張り合っている」と指摘する。特にデジタル赤字は解消する見込みがなく、円相場を下押しし続ける可能性がある。 経済産業省はコンピューターサービスの国際収支について、「市場が指数関数的に拡大する中、国内企業の供給が伸びなければ赤字幅も急拡大する」として、12年度に8兆円の赤字になると予測。円相場の先行きを占う観点からも、デジタル赤字の動向から目を離せない状況が続きそうだ。(米沢文)
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