日本演劇界を代表する劇作家で、劇団「唐組」主宰の唐十郎(から・じゅうろう、本名・大靏義英=おおつる・よしひで)さんが4日午後9時1分、急性硬膜下血腫のため死去したことを5日、同劇団が公式サイトで発表
した。84歳だった。野外の仮設劇場「紅(あか)テント」で国内外を巡演し、小劇場運動を先導。“アングラ演劇の旗手”として代表作「唐版 風の又三郎」「泥人魚」など100本以上の戯曲を発表した。葬儀は近親者のみで執り行う予定で、日にちは未定という。約40年前になるだろうか。新宿花園神社での稽古が終わった夕方、ドラム缶を置いたたき火を前に、劇団の俳優・スタッフが唐を遠巻きに集まった。親しい新聞記者・評論家もいた。妻・李麗仙、麿赤兒、大久保鷹、四谷シモン、不破万作、根津甚八らがビールや日本酒を飲んでいた。私には唐が猛者を率いる清水次郎長、明治期の川上音二郎を思わせる大親分に映った。
彼らが演じる紅テントはサーカスかお化け屋敷に似た異様な興奮、熱狂にあふれた。「腰巻お仙」シリーズ、「ジョンシルバー」「少女仮面」…。轟音(ごうおん)が流れ、突然低くなる音楽、唐にスポットライトが当たると不思議な化粧の顔が浮かんだ。上野・不忍池から這(は)い出す俳優、時には脱糞(だっぷん)ショーという異常なイベントもあった。 主宰し、戯曲を書き、演出し、俳優で演じ抜いた1960~70年代のアングラ演劇のスーパースター。それは台詞(せりふ)劇中心の近代リアリズム演劇と対決した肉体の復権を意味していた。つかこうへい、野田秀樹、渡辺えり、流山児祥、歌舞伎の18代目中村勘三郎らに刺激と影響を与えた。 令和3(2021)年6月22日に亡くなった李麗仙の通夜。「さらば李麗仙、また会おう」と言い残して帰った、と関係者から聞いた。一代の風雲児、唐十郎。「お疲れさん、また会おう」(スポーツ報知OB・大島 幸久)
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