山口一郎『ことば 僕自身の訓練のためのノート』『ことば2 僕自身の訓練のためのノート』 【書評】 打ち寄せる言葉の波間から

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山口一郎『ことば 僕自身の訓練のためのノート』『ことば2 僕自身の訓練のためのノート』 【書評】 打ち寄せる言葉の波間から
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【評者】池上英洋(美術史家・東京造形大学教授)左:『ことば 僕自身の訓練のためのノート』山口一郎 青土社 ¥2,420(2023年3月刊) 右:『ことば2 僕自身の訓練のためのノート』 同 ¥2,42...

私の歌を聴くために、船の後ろを小舟で付いてくる者たちよ、元の浜辺に戻りたまえ山口一郎本人が語っているように、彼の作品世界には、音楽よりもまず先に言葉があり、詩がある。稀代のメロディメーカーたる山口に対して意外に思われるかもしれないが、彼はむしろ自身の詩を伝えるための手段としてこそ、歌を選んだとさえ言える。だから、サカナクションの楽曲について「文学的、抒情的」といった形容がよく用いられるのはごく当然であって、想像するにおそらく彼はメロディよりも言葉を紡ぎ出すプロセスにより多くのエネルギーを費やすのだろう。実際に、部屋にこもって何日ももがいた末に、ようやく朝方になって疲弊しきった顔で歌詞ができたことを告げる山口の姿は、SNSなどで彼をフォローするファンたちの間ではよく知られている。

結局のところ、山口自身にとって『ことば』は過去の自分の熱情を少し思い出させてくれるものでしかなく、評価を気にする対象でもないはずで、つまり本人にとっては書評記事などもさして意味をもたない。しかし私たち読者にとっては、ある詩人の純粋なる詩集として、また彼の作品世界が構築されていった過程を追走できる興味深い足跡であり、さらにはそこから一人ひとりが新たなイメージを創り出す源泉にさえなりうる。というのも、あらゆる芸術は作者の手を離れた瞬間から受容者(受け手)のものとなる宿命だからだ。創り手がいかなる想いやメッセージを込めようと、それをいかに解釈するかは受け手一人ひとりの脳内での再構成如何にかかっている。

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