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:だから「土はつくれません」とおしまいにしてはいけない。人間がどれだけできるか、試すだけ試したい。それでダメならサイエンスには限界があるということも認め、「現状の農業のやり方をどうやってもっといいものにするか」という包括的なアプローチを選ぶ。人工的に土をつくる挑戦との合わせ技で、これから取り組みたいですね。「土って面白くて。1万種類、100億の微生物がスプーン1杯の中にいるんです」わずかそれだけの土に、世界の人口より多い微生物が共存している?...
この話を「土」に当てはめると、非常に面白い。土とは、100億の微生物が生み出した最高の製品のひとつなのだ。だから安易にサイエンスしようとしてはいけない。そして、すべての動植物の源を生み出す工場でもある。映画『天空の城ラピュタ』のセリフにあるように、まさに、人は「土から離れては生きられないのよ」である。土という製品を生み出したのは、スプーン1杯の中にいる多様な微生物たちだ。 現代経営はダイバーシティの重要性が問われているが、多様性がある組織から生まれた商品は強い。そして、その理論をすでにこの世に証明しているのが、まさに「土」であった。よく肥えた畑にはミミズがいるが、彼らは有機物と無機物を食べ、排出する。それをひたすらに繰り返し続けて、ようやく土のかたちになっていく。地球上で費やされたその年月は、なんと4億年。
気の遠くなる時間をかけて圧倒的にクラフトした製品が「土」なのだ。そのプロセスがあまりに壮大すぎて、科学者は土を前にすると謙虚にならざるをえないのだろう。つまり、なにが言いたいか? それは、ラピュタで宮崎駿が描いたように、土を安易に汚染することは「天才を殺す凡人」の始まりなのかもしれない、という事実である。◎1987年、兵庫県生まれ。作家、ワンキャリア取締役CSO。神戸大学経営学部卒業。博報堂へ入社し、経営企画局・経理財務局で勤務。ボストンコンサルティンググループを経て、2016年、ワンキャリアに参画。子会社の代表取締役、社外IT企業の戦略顧問などを兼務し、20年1月から現職。著書『転職の思考法』『天才を殺す凡人』『内定者への手紙』ほか。近著は『仕事の教科書』。
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