南沙諸島に中国船停泊1カ月 フィリピン、対応に苦慮
【マニラ=志賀優一】中国とフィリピンなどが領有権を巡って争っている南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島のサンゴ礁周辺で、1カ月にわたり中国船が停泊を続けている。隣接するフィリピンは当該海域が同国の排他的経済水域(EEZ)だと主張し、米国とともに中国の行動を非難した。ただ、ドゥテルテ大統領は通商などで依存する中国との友好関係を保ちたい考えで、対応にはぶれも目立っている。一方、中国政府は船は「漁船」で停泊は「嵐からの避難」だと主張するが、現地の天候は安定しており、この海域の実効支配を強める戦略の一環である可能性がある。中国外務省の趙立堅副報道局長は6日、「フィリピンは理由のない宣伝を直ちにやめ、両国関係と南シナ海の安定にマイナスの影響を及ぼさないようにすべきだ」と語った。
海上輸送の要衝でもある南シナ海では中国が独自の境界線「九段線」を主張する。この主張を巡り、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は16年、フィリピンの訴えを審理し国際法上根拠がないと認定した。しかし中国は判決を受け入れず、自国防衛の「第一列島線」の一部として軍事拠点化を進めている。 背景にあるのが、経済面の中国依存だ。20年のフィリピンの輸出総額のうち、中国と香港を合わせると全体の29.3%を占め、日本(15.5%)や米国(15.2%)を大きく上回る。対中輸入は23.2%と他国・地域を引き離す。投資や観光客の受け入れでも中国の存在感は年々高まっている。
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